春のクラブ活動が、停止
その事故は、体育館で、床に置いたベースに向かってスライディング練習をしていた時に起こりました。
「グキッ」
私のシューズが床の上を上手く滑らず、引っ掛かってしまったのです。小学生ではソフトボールとバレエ、中学生では剣道、高校生ではダンスをしていた私、それなりに小さな怪我や、軽い捻挫を経験していました。
「あー、またかぁ」
痛みはあるものの、冷やせば何とかなるだろうと思っていたのですが、すぐに連れられて向かった病院で先生は、「トーンテンダンです」と言う。
「トーンテンダン」?
いえ、頭の中はむしろ、
「とーんてんだん?」
レベルで、平仮名が浮かんでいたと思う。
膝から下をぐるぐると冷たい包帯で巻かれながら、考えていました。
「とーんてんだん」って何だろう???
その包帯が、石膏の様にカチカチになってから、松葉杖と共に帰宅した私は辞書で、
「トーン(torn):裂かれた」
「テンダン(tendon):腱」
と言う単語を調べ上げ、初めて顔から血の気がひきました。
この頃撮った写真を見ると、その石膏風包帯の上には、英語文字が一杯。友達や、学校で私の脚に気づいた先生までもが「お大事に」の意味を込め、色々書き込んでくれたからです。
「どうしたの?」「トーンテンダンなの」と、覚えたばかりの言葉を使って会話する日々♡
お陰で、これまで話した事がない人までもが言葉をかけてくれ、持ち歩いていた単語帳には「torn tendon」と言う、新たな言葉が加わったしで、悪い事ばっかりではありません。
ただ、全治1ヶ月だったので、楽しみにしていたソフトボールには、それきり参加出来ず、それは今考えても、とても残念な事でした。