京都人が、2つ目の ” ば ”にアクセントをつけて呼ぶ「つ ”ば“ き」。
母が好きなこの花は、実家の庭にたくさん植えられている。61歳で急逝した祖母が愛でた椿を、母は自らの実家から移植してまで育てていた。子供の私にその気持ちなどわかるはずもなく、それが数多く植えられている椿のどれかさえ、わかってはいませんでした。
我が子がようやく小学生になり、昔、少しかじった茶道を再開しようと決めて、日々勉強していくうち、日本には何と多種の椿があり、お茶の世界ではこの椿を炉の季節の花として、11月から4月までの長きにわたり、床に飾って自然を表現して来た事を知る。
街の洒落た花屋では、外国から輸入された、置くだけで絵になる花が沢山売られていて、時にその値段に驚きつつも、つい手を伸ばしてしまう時があります。けれども日本には、古来からこんなに美しい、それこそ茶花を扱う店以外では滅多に売られていない花が、咲き続けていたのか!と、再発見した次第。
まぁ、どこぞが発売したシャンプーも、それで髪を洗うだけで、ツヤツヤの黒髪になれそうな気にさせてくれるので、日本人のDNAに椿とは、普段意識していなくとも、深いところでちゃんと、自分たちの暮らしと共にあった花、と言う認識があるのではないか(多分?)。
11月に入り、ようやくこの花を床に飾れる季節が到来しました。最近の11月は、少しも霜月を感じられない程、暖かな日々ではあるけれど、それでもこの花を見ると、ちゃんと季節を実感出来るのだと思います。
実家からの、椿開花の知らせが待ち遠しい。