matcha と treat
「金魚をモチーフにしたお菓子。金魚は江戸文化の象徴なので、京都の和菓子に、この図柄を使うことはなかったのよ」
と、茶道の先生が仰いました。ところが最近は増えているのだと言う。何百年も続いている老舗の中には、実は新らしいものを取り入れる事へ果敢にチャレンジしている店も少なからずあるらしい。伝統を守りながらも、新しい風も取り入れていく。書けば簡単だが、これは相当難しいと思う。
インバウンド客にわく京都。京都には「百味会」と呼ばれる、いわば老舗同士の連帯組合があり、その会に入っている店の名前を聞くだけで、ひれ伏したくなるのは日本人(京都人)ばかりか?外国人客にはそんなブランドよりも、新興店が出す、インスタ映えするキャッチーなお菓子やモノへ人気が集まり、老舗も大変なのだそうだ。
永年続けてきたからには、相当なノウハウの蓄積もあるだろうが、その蓄積が却って新しい道の阻害へも繋がり、この難題をクリアしていく店だけが、今後は生き残れるのかな。
でもね。私は一方で思うのだ。平安時代に唐で仏教を学び帰国した永忠と言うお坊さんにより、初めて日本にもたらされた茶葉が、やがて茶道と言う形で千利休により今の形に形作られて、間も無く450年を迎える。茶道を通して、現実世界では今のところ不可能な、過去への時間旅行と言うか、当時の人々の感覚を想像する事が出来る。これが何より楽しい。
100年。いやいや200年も300年も先の人が、今の日本を想う日のために、老舗と言われる店々の頑張りを、心の底から応援したいとも思います。
(写真 : 秋口だけに登場する、鶴屋吉信のハロウィン主菓子)