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リペ島マジック


タイが好きだ。どのくらい好きかと言われると、昔おばあちゃんが握ってくれた塩加減バッチリで食べたらお米が口の中でほろほろばらけていく絶品おにぎりくらい好きだ。

北から南までいくつか観光地を訪れたけど中でも1番最高だった旅の話をしたい。

約3年前、妹とお互いの有給休暇をMAXに使って一週間タイ旅行をした。ドンムアン空港から国内線、バス、ボートを乗り継ぎ目指すはタイ最後の楽園、リペ島。

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エアアジアのジョイントチケットを買ったので予約は楽だったが、リペ島は想像以上に遠かった。ドンムアン空港からノンストップで乗り物に乗り続けたせいもあり移動はキツかった。サトーン県の港からからリペ島へのスピードボート、これが岩にぶつかっているかのようにゴッゴッと音を立てながら揺れて進んでいくのだ。

アドベンチャーがすぎる。腰が死んだ。ちなみに腰が痛すぎて呻いている私の隣で妹は笑っていた。

そうこうしてようやくたどり着いたリペ島
島について心の底から思った。

『こんなに綺麗な海があるんだ』

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海が好きだ。

プーケットもサムイ島もバリ島もロットネスト島も屋久島も硫黄島もどこも綺麗な海だった。
けど、リペ島は次元が違った。綺麗な海を見るだけでこんなにも満たされるとは思いもしなかった。

昨日見た海なのに翌朝見るとまた感動がやってくる。砂浜に寝転がっている犬に気を取られて海から少し目をそらす、そしてもう一度海を見ると、魔法がかけられているかのように感動するのだ。数秒前に見た景色が広がっているだけなのにそれでも1回目となんら遜色のない感動がやってくる。朝昼夕夜、食前食中食後、どの瞬間に見ても綺麗。写真を撮るためにカメラのファインダー越しに海を見る、それからシャッターを切った後に何も通さず自分の目で海を見る、すると眼前には言葉にならないくらい綺麗な海が目の前に広がっていてまた感動するのである。

瞬きしてる一瞬の間ですら惜しくなる。
一目ぼれをしたかのように限りなく透明に近い青の世界に何度もおちていくことができる。
この島に足を踏み入れた人は全員、この、リペ島マジックにかかると思う。

朝食後、海を妹と眺めていたらお昼になっていたこともあった。特に話すこともなくただ二人で海を眺めているだけ。そのくらい見飽きない。むしろ見てるのに見足りない感覚に襲われるのだ、モットミタイ、と。

未だかつてこんなことがあっただろうか。何もしなくても満たされる。最後の楽園とはよく言ったものだ。

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滞在中に1度シュノーケリングのツアーに参加した。ロングテールボートに乗ってお昼ご飯付きで破格の800バーツ。しかもスタッフが水中カメラで写真を撮ってくれデータをくれるオプションまでついてくる。ポイントを変え何度かシュノーケルを楽しみ近くの島でブランコに乗りお昼ご飯はタイの美味しいフルーツ付き、そして夜は夜光虫を見るために真っ暗な海へ。星空の下でナイトシュノーケリングという名の水中プラネタリウムを楽しむのだ。

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別の日はシーフードレストランで日本人の家族に話しかけられた。ようやく島で初めて日本人を見た。仲良くなり一緒にご飯を食べビーチバーでお酒を飲んだ。

岐路につくと、なにやら楽しそうな地元の酔っぱらい達に遭遇。

お酒を飲みながら各々持参した楽器を演奏してデタラメな歌を歌っているのである。私たちは弾けも吹けもしない楽器を借りて音を出す、すると即興で歌を歌ってくれる。言語も音もバラバラの世界一愉快なセッションが始まったエモい夜だった。

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リペ島はタイ最南端の秘境でマレーシアのランカウイ島経由でやってくる人たちが多いくらい南にある。地理的にタイよりマレーシアの方が近い。アンダマン海のタルタオ海洋国立公園に浮かぶ直径3キロほどの小さな島。

車なんて1台もない、必要ないし、そもそも車が通れるだけの道幅がこの島にはない。島にはウォーキングストリートと呼ばれるレストラン街と、シュノーケリングやダイビングのツアーを売ってるお店が数店舗あるだけ。コンビニも一軒あったがコンビニと呼ぶには心許ない。夜の街を明るく照らす街灯も、最新技術も、車もバイクも、快適なネット環境もない。

ないものはたくさんあったけど、
ここにしかないものがたくさんある島だった。

海を眺めるのもすきだったけど今度はもっと海の中で時間を過ごしたい。昼はシュノーケルをして夜はへんてこな歌とともにシンハービールを飲みたい。

次はいつあの島に行けるだろうか。

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