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置かれた背景と生育歴に寄り添えば子どもは救える

 学校で問題行動を起こす子どもに対して、その問題行動をおさめ

るための対応はどれも基本的には「対処療法でしかない」と私は思

っています。問題行動に対する対応よりももっと大事な支援があり、

それは「その子どもの今置かれている状況(背景)」と、「この問題

行動を取らざるを得ない状況に至るまでの、これまでの歩み(生育

歴)」を押さえておく必要があります。

 「24時間サイクルで子どもの置かれている状況を把握することが

大事です」と研修会の中でよくお話していますが、学校以外での子

どもの過ごし方(家庭や部活動、放課後等デイサービス、塾や習い

事など)はどうなのか?子どもが居場所を感じられていなかったり、

イヤイヤ活動していることはないか?それぞれの場面において人間

関係でつらい思いをしていないかなど、ネガティブな働きかけを受

けていないかどうかを把握し、それを減らしていくことで問題行動

が根本的に軽減されていきます。

 また、もっと子どものことを俯瞰的な視点で捉えることも大事で、

それが「これまでの生育歴をたどる」ということです。

 就学相談会の際も、初めて会う子どもに対して我々相談員は、こ

れまでの生育歴を様々な資料から把握します。

 「これまでの歩みの中で、どのような成功経験や失敗体験を積み、

どんなことが得意でどんなことが逆に苦手なのか?」「周囲の人と

の関係性や、居場所が感じられる場所がどこにあったのか?」など、

生育歴をたどることは、これからの支援のヒントになることが多く

眠っています。

 このように、現在と過去をより大きな視点で捉え直すことは、特

別な支援が必要な子ども達にとって、より適切な支援を提供できる

原動力となっていきます。

 ただ、「目の前の問題行動をどうなくしていくか?」ということ

に躍起にならず、「この問題行動の根本的な要因はどこにあるの

か?」「その要因を取り除くためには今後、どんな対応をしていく

必要があるか?」といった視点で対応することが大事です。

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