BYREDO DESERT DAWN。砂漠が目覚める瞬間
今回は9月に発売されたBYREDOの新作、DESERT DAWNを紹介します。BYREDOについては、これまでに6本のフレグランスをレビューしてきたので、ブランドのことはこちらをチェックしてみてください。
今回はボトル購入時についてきたサンプルをレビューします。秋の新作、どんな香りなのか見ていきましょう。
DESERT DAWN
砂漠の夜明けを待つ静寂さながら、控えめな佇まいを見せる香り。白い砂の粒子が舞い上がるように、パウダリーな質感が空間に広がる。紙のような乾いた清潔感の中に、カルダモンの清涼な気配が垣間見える。
上質な和紙に淡く染み込んだ墨のように、シダーウッドとサンダルウッドの調べは控えめに溶け込み、存在感を主張することはない。しかし確かにそこにある温もりは、乾いた大地に残された朝露のように繊細だ。
ローズの存在は、朝もやの中でぼんやりと輪郭を保つ程度だ。予想される華やかさはなく、むしろ素っ気ない印象すら残る。砂漠という表現に期待される壮大さや神秘性からは離れ、確かな技巧で調和された静謐な空気感が漂う。
しかし香りの強さは控えめで、この抑制された表現は意図的なものなのか、あるいは物足りなさなのか判然としない。砂漠の夜明けは、時に人の想像をすり抜けて行くものなのかもしれない。
まとめ
そもそも砂漠の香りを想像することから始まったDESERT DAWN。広告から膨らんだ期待とは裏腹に、予想以上に控えめな仕上がりでした。
これまでのBYREDOレビューでも触れましたが、ジェローム・エピネットの調香は「素晴らしい」か「物足りない」かの二極化傾向にあり、今回は残念ながら後者でした。ただ、これは砂漠という風景を知らない私の想像力の限界かもしれません。
余談ですが、調べてみると日本にも砂漠があるそうです。伊豆大島の「裏砂漠」が国内唯一の砂漠とのこと。東京から2時間で行けるなんて意外ですよね。機会があれば、本物の砂漠の空気を感じに行ってみたいと思います。