Bdk Parfums | 312 Saint-Honoré
ビーディーケーパルファム(Bdk Parfums)は、若き調香師デイヴィッド・ベネデック(David Benedek)によって創設されたパリの独立系フレグランスブランドです。最高の天然原料を使い「ストーリーを語る香水」というテーマで、すべての香りが作り出されています。詳細はNose Shopの紹介文をご参照ください。
以前にNose Shopのガチャで出会ったBdk Parfumsの2本。その上質な香りに魅了されて、もっと他の作品も試してみたくなり、本国サイトからディスカバリーセットを取り寄せました。15本、自分で作品が選べるタイプのものです。あまりの多さに途方に暮れていましたが、2カ月間かけてじっくりと日常生活で試しました。1本ずつレビューしていきたいと思います。
サントノレ 312番地(312 Saint-Honoré)
雨上がりの街角で、透明な空気が漂うように香りは静かに立ち昇る。最初に感じるのは、アンバー調のムスクの温かみ。それは控えめな印象で、肌の上でゆっくりと息づきはじめる。
この香りには、いくつもの表情が隠されている。ピンクペッパーの爽やかなスパイシーさが、都会的な空気感を演出する。モダンな建築が織りなす都市の風景のように、その香りは無機質でありながら温かみを持つ。オレンジブロッサムやアイリスの花々は、その無機質さに、やわらかな生命力を吹き込む。
つけはじめは控えめかもしれない。だが、肌の上で香りが目覚めるにつれ、ウッディさとハーバルな要素が、静かな存在感を主張しはじめる。それは、都会の街並みの谷間に漂う朝もやのよう。スモーキーな空気感は、建築空間を包む靄のように、全体を繊細に包み込む。
この香りは、都会の洗練と自然の温もりが交差する場所に立っている。控えめながらも、確かな個性を持つ香り。それは、誰もが行き交う街角で、建物の隙間からこぼれる光のように、そこにある。
技術詳細
個人評価
まとめ
アンブロキサンとアンバリームスク。2つのムスクで始まるこの作品は、クリーンな透明感とウードのスモーキーさを伴いながら、柑橘とフローラルへ穏やかに移行、少しバニラに似たトンカビーンズが現れ始めると、時折ピンクペッパーのほのかなスパイシーさを伴いながら、最終的にウッディさとハーバルさが感じられる香りに落ち着いてゆきます。
この作品は、パリにおけるBdk Parfums初のブティックを構成する象徴的な素材、ガラス、コンクリート、白いブルゴーニュ石からインスピレーションを受けて生み出されたそうです。雨上がりのコンクリートから漂うような都会的でスタイリッシュな香りという印象を持ちました。
キリっと気持ちを引き締めたい日に付けたい香りです。