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Zara Origins | Day

今回はZARA香水のレビューです。2021年からZaraが展開を始めたハイエンドライン「Zara Origins」に類する商品で、Byredoの調香で知られるジェローム・エピネットが手掛けています。発売日の公式情報が見当たりませんが、最近発売されたようですね。

50mlのフルボトルEDPで3,990円という価格設定は、著名な調香師が手掛けた香水としては前代未聞といえるでしょう。早速、香りのレビューに入っていきたいと思います。

A Day Fragrance By Zara Origins Day

タイポグラフィが映えるスタイリッシュなボトルデザイン

陽光に輝く柑橘園から切り取られたような清々しさで幕を開ける。レモンの鮮やかな輝きが際立ち、その後ろでベルガモットが控えめに存在感を示す。爽やかさは確かなものの、どこか既視感のある印象だ。

時間の経過とともに、プチグレインの落ち着いた柑橘の気配が姿を見せる。しかし、その存在感は儚く、まるで春の午後の日差しが急に雲に隠れてしまったかのように、香りの強さが突如として減衰していく。

フローラルノートとされるオレンジブロッサムは、まるで水で薄められた花のエッセンスのように存在感が希薄だ。期待されるアンバーの深みやウッディ感も同様に、極めて控えめな主張に留まっている。ベースに配されたムスクの存在も、ほとんど感知できないほどの微かさである。

柑橘系の香りが早々に消え去ることは、この種の香水では珍しくない。しかし、本来なら持続するはずのアンバーやウッディノートまでもが跡形もなく消失してしまうことは、香水としての完成度に疑問を投げかける要素となっている。

価格帯を考慮すれば、決して粗悪な香りではない。だが、心を揺さぶるような感動も、記憶に刻まれるような個性も見出せない。就寝前の香りとして使用するなら、量を増やして使用することで何とか役目は果たせるかもしれない。

香水業界の経済性という観点からは、この価格設定で調香師に適切な利益が確保できているのかという疑念も浮かぶ。結果として生まれた香りは、技術的な完成度よりも、経済的な制約が色濃く反映されているように感じられる。

調香師:Jérôme Epinette(ジェローム・エピネット)
香りの強さ:★☆☆☆☆
香りの持続時間:★☆☆☆☆

まとめ

ジェローム・エピネットが手掛けたByredoの香水は8本試し、1本をボトルで購入しています(レビューは後日掲載予定)。印象は「素晴らしい」か「やや物足りない」かの二極化傾向にありました。詳しくはこちらをご参照ください。

今回の「Origins Day」は、前述の通り基本的な品質面での課題が目立ち、調香師が意図した香りが再現できているのか疑問が残ります。これがByredoならブラックアンバーが強烈に香る時間が来てジェローム・エピネットらしい調香の特徴が感じられるはずですが、そんな時間が訪れることはありませんでした。

香りの持続性も低く、何度か試用を重ねましたが評価は変わりません。試しに3倍くらい吹き付けてみたら、やっとムスクが感じられるようになったことから、一般的なEDPよりも賦香率(香料の割合)がかなり低い、あるいはアルコールか香料の品質に問題があるのではないかと推測されます。「この価格だから仕方がない、と納得するのは倫理的には難しいところです。

ほとんど使用していない50mlをどうしようかと途方にくれますが、香り自体は不快ではないため、寝香水として使用し、残量が少なくなったらルームフレグランスとして活用しようと思います。

私にとって初めてのZara香水となった「Origins Day」。その印象次第で、ナイトバージョンである「Origins Night」やジョー・マローンとのコラボレーション香水も購入するつもりでしたが、見送ることにしました。今回の経験から、Zaraの香水との相性の悪さを実感。これをもって、私のZara香水との付き合いは終わりとなりそうです。

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