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Essential Parfums | Mon Vetiver

以前から店頭で手に取っていたエッセンシャル パルファン(Essential Parfums)。その上質な香りの数々に惹かれ、より深く知りたくなり、本国サイトからディスカバリーセットを取り寄せることに。現在展開している全10種類を試せるセットです。

香りとの出会いはときに一期一会。それぞれの個性的な魅力をじっくりとお伝えしたく、1本ずつ丁寧にレビューしていきたいと思います。

ブランドの紹介は、10本のレビューが終わってからまとめるつもりです。

筆者のひとこと

調香師について

ブルーノ・ヨバノビッチ(Bruno Jovanovic)

ブルーノ・ヨバノビッチ(Bruno Jovanovic)は、フランスの調香師として香水業界で高い評価を得ています。幼少期から身の周りの香りに魅了され、香水への情熱を育んできました。

パリ第6大学(ピエール・マリー・キュリー大学)で物理学と化学を修めた後、フランスの調香学校ISIPCAに入学し、優秀な成績で卒業しています。

ニューヨークとパリを拠点に20年以上にわたり、アメリカンドリームとフランス香水の神話を見事に融合させた作品を生み出してきました。香りと深い絆を感じながら、その情熱を作品に反映させることを大切にしています。

知性と芸術性を兼ね備えた調香師として、アーティストや哲学者からインスピレーションを受けることが特徴です。アイデアを分解し、本質を追求する姿勢を持ち、原料の熟成と最終的な香りの形に時間をかけて向き合います。カントの「美は普遍的で概念を持たない」という言葉を座右の銘としています。

シンプルで明快なメッセージを持つ香水作りを得意とし、少ない原料で芸術性と感性を表現することにこだわりを持っています。エディション・ド・パルファム フレデリック・マルの「ムッシュー」やドリス・ヴァン・ノッテンなどの作品を手掛けながら、クラシックな優雅さと革新性を併せ持つ香水の創造に情熱を注いでいます。

画像とプロフィール文はFragranticaから引用させていただきました。

https://www.fragrantica.com/noses/Bruno_Jovanovic.html

モン ベチベー | Mon Vetiver

https://www.essentialparfums.com/en/collection/perfum/eau-de-parfum/mon-vetiver/

光を透かして輝く透明なボトルを手に取ると、そこには密林の深い緑が液体となって閉じ込められているかのようだ。

最初に感じる香りは、まるで朝露に濡れた草原を歩くような清々しさ。その奥から、遠い南国で収穫された柑橘系の実の皮をそっと指先でこすった時のような、爽やかな香りが漂い始める。やがて、ミントタブレットを口に含んだ時のような、クールな心地よさが鼻先をくすぐる。

しかし、この香水の真骨頂は、その奥に潜む意外性にある。クリーンでモダンな印象の中に、どこか薬局の調剤室を思わせる、スパイシーで無機質な空気が混ざり合う。それは不快感とは無縁の、むしろ知的な魅力を醸し出す要素となっている。

カリブ海に浮かぶ島で、伝統的な手法で栽培されたベチバーの根から抽出されたオイルが、この香水の中心的な役割を果たしている。それは土の香りを含んだ深い緑の調べとなって、フレッシュな印象に重厚な深みを与えている。

エシカルな生産への配慮も感じられるこの香水は、ナチュラルでありながらどこかアーバンな佇まいを持つ。まるでニューヨークのモダンアートギャラリーに展示された、緑あふれる熱帯雨林の写真のように、都会的な洗練と自然の力強さが見事に調和している。

調香師:ブルーノ・ヨバノビッチ(Bruno Jovanovic)
香りの強さ:★★★☆☆
香りの持続時間:★★★★☆

まとめ

ベチバーとパチョリの印象が強く、付けた直後は予想通りの重さを感じました。しかしペパーミントの清涼感とライムの爽やかな苦みが調和し、やがてリンドウのフローラルな香りが中心となって、最後はガイアックとカシミアウッドの落ち着いた余韻へと変化していきます。

ボトル購入を真剣に検討した香水の一つで、今回は見送りましたが、次の候補として考えています。

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