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Byredo | Mojave Ghost

前回に引き続きByredoの香りをご紹介します。偶然にも砂漠つながりとなった今回は、人気作のMojave Ghostです。Byredoについては、これまでに6本のフレグランスをレビューしてきましたので、ブランドの詳細はこちらをご覧ください。

今回もボトル購入時についてきたサンプルをレビューします。人気の香りとして知られるMojave Ghostの魅力に迫ってみたいと思います。

Mojave Ghost

最初の一吹きで感じる果実とムスクの意外な調和が、この香りの独創性を端的に物語る。清らかな朝の光に照らされた果実の瑞々しさと、官能的なムスクの温もりが同時に立ち昇る瞬間は、これまでの香水の常識を覆す驚きをもたらす。その印象は徐々に変容し、白い花弁をゆっくりと開くマグノリアの気配へと移ろう。クリーミーな質感を帯びた白檀の温もりが、この白い花の香りと溶け合い、清楚でありながら深みのある佇まいを見せる。

バイオレットの持つ繊細なパウダリー感は、この香りの骨格を形作る重要な要素となっている。それは決して主役には躍り出ず、むしろ全体の調和を整える縁の下の力持ちのような存在感を放つ。中心となるムスクの質感は、これまでの香水では出会ったことのない特異な表情を見せる。それは押しつけがましさとは無縁で、まるで肌の温もりが香りに変わったかのような自然な存在感を放つ。

最後に現れる木々の香りは意外な展開をもたらす。それは砂漠に佇む古木が放つような乾いた空気感であり、この香りの旅路に相応しい終幕となっている。この香りは、従来の組み合わせにとらわれない革新的な発想と、洗練された調和の両立を実現している。

調香師:Jérôme Epinette(ジェローム・エピネット)
香りの強さ:★★★☆☆
香りの持続時間:★★★★☆

まとめ

付けた瞬間に「これは良い香水だ」と直感しました。フルーティーとムスクが同時に香り立ち、クリーミーさが広がってきたと思ったところで、マグノリアとサンダルウッドが絶妙なバランスで香りを整えていきます。その結果、パウダリーなムスクという珍しい香りの調和が続き、最後には意外性のあるウッディな香りで締めくくられます。

間違いなくジェローム・エピネットの傑作といえる香りの一つでしょう。いま使っているボトルがなくなり次第、このMojave Ghostを次の一本として選びたいと考えています。

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