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JO MALONE 英国のエレガンス。レイアリング推しの本家

今回はJO MALONE(ジョー・マローン)。ブランド名のご本人であるジョーさん(女性)によって1994年に設立されたイギリスのフレグランスブランドです。ジョーさんが自宅のキッチンで手作りのフレグランス製品を作り始め、それが評判を呼んだのが起源とされています。

ジョー・マローンの最たる特徴は、セント レイアリング(重ねづけ)というコンセプト。単独でも他の香りと組み合わせても楽しめることを前提として調香されており、自分だけの組み合わせを探求できることを訴求しています。スタッフからレイアリングを勧められたことがないでしょうか。そういうことですね。

https://www.jomalone.jp/our-stories/philosophy-of-scent-pairing

ジョー・マローンの香水はすべてオーデコロン(EDC)です。オーデコロンは香水の中でも香りの濃度が低めのタイプ。ゆえに香りの持続時間が短めで、さっぱりと消えていきます。ピンポイントで短時間好きな香りをまといたいときや、自宅や寝る前などリラックスタイムにつけるにはぴったりのブランドだと思います。

SHIROのコラムより転載

そして、やはりレイアリングです。ボトルの名前通りのストレートな香りが多い印象なので、「このフローラルにこのウッディを足したい」みたいな狙いが外れなさそうに思います。ジョー・マローンが一貫してコロンで販売するのは、それが理由なのかもしれません。

少し前の話になりますが、ミニ香水を4本買って試してました。記憶とメモを頼りに、レビューしていきます。


調香師について

ブランド設立当初は、創業者のジョー・マローン自身が多くの香りを調香していました。しかし、2006年にブランドがエスティローダーグループに売却された後、ジョー・マローン本人はブランドを離れたそうです

現在のジョー・マローンの香水は、ブランドに所属する調香師チームによって作られています。彼らは、ブランドの伝統とビジョンを守りながら、新しい香りを生み出し続けています。

また、著名な調香師を起用することもあるようです。例えば、人気No.1の「English Pear & Freesia Cologne」をはじめ20種以上の香りは、エルメスの専属調香師として有名なクリスティーヌ・ナジェルが手掛けています。ナジェルは、その後エルメスのインハウス調香師となり、現在も活躍中の著名な調香師です。

前書きが長くなりました。ここからレビューしていきます。

Lime Basil & Mandarin Cologne

ここは世界三大金融センター、ロンドン。そこに佇む、若き証券マンの姿が浮かぶ。彼のまとう香りは、清廉さと野心の奇妙な調和だ。柑橘の爽やかさは、その野心を包み隠す薄いベールに過ぎない。ブランド創設者、ジョー・マローン自身が初めて本格的に調香したとされるこの香りは、みずみずしくも甘くない柑橘、独特の鋭さを持つバジル。その鼻をくすぐる青々しい香りが、日本人からすると、異邦人特有の人肌の匂いのように感じられるかもしれない。

この香りは、他の香りとの出会いを待っているかのようだ。まるで若き野心家が、己の真価を発揮する機会を待ち望むかのように。

調香師:Jo Malone(ジョー・マローン)

English Pear & Freesia Cologne

みずみずしい洋ナシの香りが、一瞬で心を弾ませる。この甘美さに続いて、繊細な花の香りが立ち昇り、果実の瑞々しさを引き立てる。それはまるで、洗練された英国の庭園を散策しているかのようだ。香りの奥底には、かすかな大地の息吹が感じられ、果実と花の華やかさを支える確かな存在感を放っている。

まさに、ベストセラーの名に恥じないコロン。

調香師:Christine Nagel(クリスティーヌ・ナジェル)

English Oak & Hazelnut Cologne

最初に感じるのは、青々とした木立の中を思わせる香り。予想していたグリーン ヘーゼルナッツの甘さは影を潜めており、むしろわずかにスパイシーである。この香りを包み込むのは、温かみのあるウッディと、焦がした樽のような香り。ウイスキーを思わせる芳醇さが、全体を引き締めている。

このオーデコロンに他の香りを重ねづけるのは、個性光るアーティストから絵具を取り上げるようなもの。単独で十分に魅力を放つ、満足度の高い香りだろう。

調香師:Yann Vasnier(ヤン・ヴァスニエ)

Wood Sage & Sea Salt Cologne

期待を胸に香りを確かめた。海の香りを想像していたが、現実は異なっていた。

塩の香りは控えめで、ミネラル感も乏しい。代わりに、温かみのある種子の香りが広がる。それは、砂浜に打ち上げられた海藻を彷彿させる。やがて、かすかなハーブの香りが顔を出す。それは海風に乗って運ばれてきた草原の匂いのようだ。

ハーバルな香りが全体に深みを与えるが、全体としてのインパクトは少々欠ける。期待が大きかった分、やや物足りなさを感じるコロンだが、独特の魅力は宿っている。

調香師:Christine Nagel(クリスティーヌ・ナジェル)

まとめ

店頭でも何本か試香しましたが、ジョー・マローンのコロンで嫌いな香りがあるだろうかと思うほど、どれも好印象。名前や原料からかけ離れることが決してない、期待を裏切らない香りばかりでした。情熱をあまり表に出さずクラシカルな上品さを崩さないところに英国っぽさを感じます(主観)。

しかし、全体的に価格が少々ネックです。フレグランスにコスパを持ち出したくはないですが、コロンの持続時間(1〜2時間)でこの価格(100mlで2万円弱)はちょっと贅沢だなと思います。しかも、レイアリング(重ねづけ)を推奨しているブランドなので、神髄を味わうなら数本買う必要があるということですよね。レイアリングの沼にはまっていくのが容易に想像できるので、ひとまず自制したいです。

この4本の中で一番好みだったのは「English Oak & Hazelnut Cologne」。香りの持続時間の短いコロンでありながら、オードパルファムのようなノートの変化を感じ取れる一品だったからです。

30mlを買って過ごしてみようかと考えてますが、あっという間に使い切ってしまいそうで、悩ましいですね。レイアリングは店頭で一度試してみるつもりです。

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