ESSENTIAL PARFUMS | NICE BERGAMOTE
以前から店頭で手に取っていたエッセンシャル パルファン(ESSENTIAL PARFUMS)。その上質な香りの数々に惹かれ、より深く知りたくなり、本国サイトからディスカバリーセットを取り寄せることに。現在展開している全10種類を試せるセットです。
香りとの出会いはときに一期一会。それぞれの個性的な魅力をじっくりとお伝えしたく、1本ずつ丁寧にレビューしていきたいと思います。
調香師について
アントワン・メゾンデュー(Antoine Maisondieu)は、フランスの著名な調香師であり、エタ リーブル ド オランジェ(Etat Libre d'Orange)をはじめとする多くのブランドで独特の香りを創り出しています。
彼の作品には、Fat ElectricianやJasmin Et Cigaretteなどがあり、これらはユニークな香りの組み合わせで知られています。例えば、Fat Electricianは、バニラ、ベチバー、オリバナムなどのノートが調和し、独特の香りを放ちます。また、Jasmin Et Cigaretteは、ジャスミンとタバコの香りを組み合わせた斬新なフレグランスとして評価されています。
メゾンデューの作品は、伝統的な香料と革新的な要素を融合させることで、多くの香水愛好家から高い評価を受けています。
ナイス ベルガモット | NICE BERGAMOTO
南イタリアの果樹園を思わせる柑橘の香りは、意外にも控えめな主張で物語を始める。搾りたての果汁のようなフレッシュさを競うのではなく、むしろ大人のたしなみとして、上質なエッセンスオイルならではの深みを湛えている。
その佇まいは、まるで朝もやに包まれた地中海の庭園のよう。朝露に濡れた花々の香りが、さりげなく空気をまとっていく。白い花が咲き誇る初夏の庭で、清々しい風に吹かれているような心地よさだ。そこには高級ホテルのバスルームで手に取る石けんのような清潔感も漂う。
やがて香りは、森の奥へと誘うように変化していく。スパイシーなアクセントを効かせながら、深い木立ちの中で出会う神秘的な佇まいへと移ろう。ナチュラルな素材にこだわった調香は、まるでオーガニックレストランのシェフが腕を振るうように、素材の個性を活かしながら見事なハーモニーを奏でている。
サステナブルな栽培にこだわって選び抜かれた原料たちは、それぞれの産地が持つ個性を失うことなく、しかし決して主張しすぎることもない。まるで長年の親友のように、互いを理解し合い、心地よい距離感を保っている。それは、エシカルであることを押し付けがましく主張せず、ただ自然体で在ることの美しさを物語っている。
まとめ
ベルガモット、フローラル、ウッディへのノートの変化が緩やかで、時間経過とともに異なる表情を見せながら、ベルガモットの香りが基調として持続します。精油を贅沢に使用することで香りの純度と一貫性を保っているのが、エッセンシャル パルファンならではの特徴といえるでしょう。
評判の高さに納得できる香りで、爽やかな夏はもちろん、落ち着きのある印象から冬のシーズンにも相性が良いと感じました。
調香を手掛けたメゾンデューは、以前レビューしたコムデギャルソンの「Monocle Scent Two: Laurel」も手掛けており、その実力の高さを感じさせる作品です。その意味でもNICE BERGAMOTOは次回の購入候補として強く魅力を感じる一作となりました。