
【オイレス工業株式会社】既存事業に匹敵する新しい事業を創る。独自の技術を培ってきた企業が魅せるアプローチとは。
みなさんこんにちは。ARCH編集部です。
ARCH Tranomon Hills (以下、ARCH)が2020年4月に誕生してから約4年が経ちました。現在は約120社と多くの企業に参画していただいていますが、まだまだ出会えていない企業も多いのではないでしょうか。そこで、お互いのことを知る「コラボレーションのはじめの1歩」を作るべく、参画企業を紹介していきます。
第2回はオイレス工業株式会社です。
企業プロフィール

オイレス工業株式会社
1952年に設立された日本の機械部品メーカー で、オイルレスベアリング(無給油すべり軸受)や免震・制震装置、排煙・換気装置の製造・販売を主な事業としている。「技術で社会に貢献する」ことを経営理念とし、オイルレスベアリングの分野では国内トップシェアを、免制震装置でも高い市場占有率を誇る。
活動内容
既存事業に匹敵する第4の柱を作るために。知財などを活用した事業創出と、新規事業提案制度の企画が進行中。
オイレス工業は2023年6月にARCH Toranomon Hills (以下、ARCH)に参画しました。現在私たちの事業は3つありますが、それだけではオーガニックな成長に限られてしまうため、第4の柱となる新規事業創出への活動を始めました。ARCHに参画した理由は、外部のさまざまな視点を取り入れるためです。
現在の取り組みは2つ。1つは、知財を活用した新たな事業の創出 。2つ目は、新規事業提案制度「ソウゾー会議」の企画・運営によって社内から事業アイデアを募ることです。
知財を活用した新たな事業の創出活動について、私たちは特許を3,572件(うち外国特許1,655件)持っています。こうした独自の技術が多数ある中で、自分達が気付けていない可能性があるのではと思い、まずは他分野に生かすことが出来そうな特許をリストアップするところから始めました。このフェーズでは、ARCHのパートナー企業であるアスタミューゼさんにも協力いただきました。その中から「バイオ燃料」や「介護予防」などのテーマを厳選し、これから事業開発・研究開発に取り組もうとしています。

新規事業提案制度「ソウゾー会議」は、社員が持つアイデアや暗黙知を拾い上げることを目的に、初の国内グループ全体の公募制度として始めました。
現在は、開催に向けて社内への啓蒙活動を行なっています。社員への説明会はもちろん、全社アンケートの実施やメールマガジンの配信、全国のグループ会社それぞれに赴いて、関連情報を見ることができるQRコードを貼ったりと、地道に、そして着実に進めています。

「ソウゾー会議」という名前には創業者の名前の「川崎宗造」と「想像 / 創造」という意味を込めました。また、「社員全員で創る」という意志を込めて「会議」としています
新規事業の創出が最大の目的ですが、第1回目である今回はモチベーションの高い人を応援する環境を作ることをゴールとしています。社内でアイデアが生まれる風土を醸成するためには、まずは共感してくれる仲間を集めることが大切だと考えています。

活動の原動力
まだ何もない中での挑戦だからこそ、結果を残したい
1年半取り組んできて、ようやく社内を巻き込んだ活動へと変化してきましたが、ここまでの道のりは簡単なものではありませんでした。
過去30年で何度か新規事業創出への取り組みを行いましたが、なかなか芽が出ないという背景がありました。そのため今回の取り組みに対して社内から「どうせ失敗するのでは」と不安視する声も。新規事業提案制度の開催についても稟議がなかなか通らず、企画検討開始から開催まで半年以上を要しました。
打開策として、社員にはさまざまなチャネルで丁寧に説明をし、役員に対しては1対1で説明する機会を設けました。時には 「会社の未来を見据えて挑戦したい」という想いの丈をたっぷり手書きで綴った資料を作ってぶつけたことも。そのようなアクションを経て開催が決まり、挑戦者向けイベントには毎回60〜70名が集まるようになりました。
新規事業創出は誰も社内で本格的に挑戦したことがない取り組みです。せっかくその一歩を踏み出すミッションが自分たちにあるなら、失敗は許されるかもしれないけど、失敗したくない。何か成果を出したいという覚悟で取り組んでいます。

ARCHに参画してみて
思わず背中を押されるような、刺激的な環境
ARCHでは、ランチ会やセミナー、PoCイベントへの参加やARCHスタッフとの面談などさまざまな機会を活用しています。
参画してから特に印象に残ったイベントは「素材博覧会」ですね。私たちのような“モノ商材”を持つ会社が集まり、ポスターセッションのような形式で、商材について紹介し合うイベントです。


私たちのお客さまは自動車や機械関係が多いのですが、さまざまな分野の会員さんとの意見交換を経て、「意外とうちの技術ってこういう部分にも可能性があるんだ」という気づきがありました。その後は、他社さんと意見交換する場を別途設けたり、引き合いもあったりと、効果を感じるイベントでした。

会員さんの魅力もARCHのもう1つの良さです。圧倒的に皆さんのポテンシャルが高い。例えば、セミナーでのグループワークでは、誰もがグイグイと自分の意見を言いますし、普段も仕事に対してのモチベーションが非常に高く、行動力も桁違いの人ばかり。一緒に過ごす中で、やる気を掻き立てられるというか、「負けていられないな」という気持ちになりますね。そういう場所に身を置いたからか、以前よりも自信を持ってアグレッシブな姿勢を取れるようになりました。

私たちが提供できること
約75年、お客さまファーストで培ってきた技術と柔軟性
私たちには約75年の間に研究開発型企業として培ってきた、3つのコア技術をはじめとしたさまざまな資産があります。そしてそれは、お客さまに寄り添う文化によって築いたものでもあります。“テクニカル・ダイレクト・セールス(TDS)”と私たちは表現していますが、お客さまの要望に合致する商材が無い場合でも開発や評価を行ったりと柔軟に対応してきました。
“ベアリング”と聞くと「うちには関係ない」と思われることもあるかもしれませんが、「こんな物、開発出来ませんか?」とまずは一度相談していただけたらと思います。ベアリングを構成する素材や材料も自社で開発していますので、すべらせる技術・素材、耐摩耗性の良い材料を使ってこんなことやってみたい、といった切り口でのコラボレーションの可能性も大いにあると思っています。

求めている技術・人・企業
B to C向けの拡販や認知活動が得意な企業やITシステムに強い企業とのコラボレーション
我々の商材がニッチな分、「どうB to C向けにコミュニケーションをとるか」という課題を常に感じています。特に新規事業については認知度ゼロの状態からスタートすることになるので、得意な企業さんに是非アドバイスをいただけると嬉しいです。

あとはITシステム系の商材を持つ企業さん。例えば今後私たちが、モノではなくコト、つまりサービスを作ろうとした際に、普段ハードな製品を作っている私たちにはシステムなどのソフト面の知見がないので、どなたかと組んでより良いサービスを開発できたら、と思います。
皆さんに一言
失敗談もシェアし合える仲間になりませんか!
普段、同じ新規事業という取り組みをする中で、苦戦しているポイントや悩み、課題についても正直に会話できるような関係性を皆さんと作っていきたいと思っています。是非お声がけください。

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