【建築探訪】vol.9 This is メタボリズム『中銀カプセルタワービル』
設計:黒川紀章
今回は黒川紀章が設計した中銀カプセルタワービルを紹介
設計者の黒川紀章は日本を代表する建築家の1人である。
丹下健三の門下生の1人であり、同じ門下生には槇文彦や磯崎新、谷口吉生と錚々たる名前が並ぶ。
代表作には福井県立恐竜博物館や国立新美術館などがある。
そんな黒川紀章が遺してきたもので、一番有名なのが菊竹清訓や大高正人、槇文彦らと共にメタボリズムを提唱したことだろう。
メタボリズムをざっくりと説明すると、動物や人間ように環境などの変化に対応して順応するのと同じように、『建築や都市も社会や環境の変化に合わせて、変化していくべきだ』という建築理論のひとつだ。
そして、今回紹介する中銀カプセルタワービルはメタボリズムを象徴するような建築作品である。
新橋駅から歩くこと10分
その特徴的な外観が見えてくる。
まるで洗濯機を積み重ねたような特異な外観である。
メタボリズムの思想を具現化したような作品であり、そのデザイン性は高く評価されている。
洗濯機のようなようなカプセル(部屋)はひとつひとつの独立性が高く、約10平方メートルの狭小空間にテレビや電話機、エアコン、冷蔵庫などのアイテムがコンパクトに壁に組み込まれている。
独立性の高い部屋はひとつひとつ取り外し、交換することができるように設計されている。(トラックで運べるサイズになっている。)
その性質ゆえに、老朽化が進めばカプセルを交換すればよいし、引っ越す際はカプセルごと引っ越して別のタワーに取り付ければよいし、家族が増えたりすればそれに合わせてカプセルを追加すればよい。
まさしく、『建築や都市も社会や環境の変化に合わせて、変化していくべきだ』という『メタボリズム(新陳代謝)』の考えをそのまま形にしたような作品である。
しかし、そんな『メタボリズム(新陳代謝)』を象徴するような中銀カプセルタワービルでもカプセルの交換(=新陳代謝)は行われなかった。
そして、ついには老朽化により2022年4月から取り壊されることが決まっている。
自分が訪れた時には仮囲いがすでに始まっていた。
カプセルは国内外の美術館などに寄贈されるようだが、詳細は不明だ。
行方が気になってしょうがない…
直に解体が始まり『メタボリズム(新陳代謝)』の代表作が失われる。
このような状況下なので、ムリにとは言わないがぜひ解体される前に、現地を訪れて、その姿を目に焼き付けていただきたい。
中銀カプセルタワービル
東京都中央区銀座8丁目
JR・東京メトロ銀座線・都営地下鉄浅草線
新橋駅から徒歩10分
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