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令和の時代の家づくり 住宅の資金計画

マクロデータで見る、注文住宅の現在

国土交通省「住宅市場動向調査」令和4(2022)年版報告書から、家づくりの現在地を俯瞰します。

住宅を購入した世帯が支出した費用

グラフ1 R04 取得回数別 住宅購入資金の総額

令和4年の調査によると住宅購入に支出した金額は、初めて家を取得した一次取世帯で、注文住宅(土地購入あり)は平均4,713万円、新築分譲住宅は4,074万円、同じく新築の分譲マンションは5,048万円でした(グラフ1)。
中古住宅の購入では、戸建が3.025万円、中古マンションの購入費は平均で2,943万円でした。
購入が2回目以上の二次取得世帯では、注文住宅(土地購入あり)の平均で9,549万円など、全体に一次取得層より大きな金額で購入されました。

取得した住宅の種類や取得回数の差はありますが、いずれの選択も、数千万円単位のお金の大きさに圧倒されます。
購入を果たした世帯の多くは、資金を自己資金と借り入れで準備するようです。

資金計画は一次、二次ともに良好

グラフ2 取得回数別 住宅購入資金と自己資金比率


グラフ2を見ると取得回数に関わらず、どの世帯も自己資金比率が2割以上と、良好な資金計画が伺えました。
その自己資金比率、取得回数で大きな違いが見られました。

一次取得層では、戸建・マンション・分譲等の種類にかかわらず、900~1,400万円の自己資金で、総予算に占める自己資金の比率は20~40%となりました。
二次取得層ではその傾向が一層強固になり、自己資金だけで1,900~5,700万円という大きな規模となりました。
・・・二次取得層、ちょっと金額大き過ぎ?
サンプル数が少ないとスコアがぶれることもあるので、一次取得と二次取得層の自己資本比率を、経年比較してみましょう。

グラフ3 自己資金比率の推移


グラフ3を見ると、やはり自己資金比率は一次取得世帯で20~40%超、二次取得では50~70%超と、二次取得層で高くなっています。
いずれにしろ、住宅取得という人生最大の買い物はどの世帯いおいても、慎重で堅牢な予算計画のもとで実行されていることが伺えます。

自己資金の内訳は

グラフ4  R04 自己資金の内訳

自己資金と聞くとまず貯金を思い浮かべますが、実際はどうでしょうか。
グラフ4は住宅の種類別の自己資金の内訳です。
どの住宅選択も、預貯金等の金融資産が自己資金の50%以上を占めます。
またこのデータは一次取得世帯と二次取得世帯が混在しているため、不動産の売却益や贈与、遺産相続など、二次取得世帯の影響も伺えました。

自己資金はできるだけ厚く

家づくりの資金計画は一般に「総額の2割程度の自己資金を」と言われます。
住宅ローンは企業向けの貸し出し金利と比較すると、金利が大変低いのが特徴ですが、長期の借入は金利の総支払い額が巨額になるからです。
総額5,000万円の住宅で1,000万円を自己資金、4,000万円が住宅ローンと仮定しましょう。
仮に35年ローンの固定金利が2%とすると、4,000万円の2%で80万円。
返済が進むと金利の金額も減るので、35年間の平均なら月4万円前後でしょうか。
それでも35年間だと金利の総額は1000万円を大きく超えます。

元利均等か元金均等かなど契約内容で計算方法も変わるので、実際はここまで単純ではありません。
しかし1~2%の低い金利でも、長期にわたって4,000万円規模の借金をすると、金利の総支払い額だけでここまで大きくなります。
5,000万円の住宅を購入したつもりが、最終支払額6,000万円以上の買い物になるのです。

変動がコワイ変動金利

最近は固定より、超低金利の変動タイプを選択する世帯がほとんどです。
しかし欧米の政策金利を見ると分かるように、金利は上昇するときは短期間で数%上昇することもあります(グラフ5)。

グラフ5    主要中央銀行 政策金利推移


前述のケースを当初3年0.4%固定+その後変動金利とすると、3年間は4,000万円の0.3%で月1万円程度の金利で、ほとんど負担を感じない範囲に収まります。
しかし4年目以降、日本にも金利上昇の波が到達して、短期金利が3% = 0.4%の
8~9倍程度に上昇したら、返済する金利も8~9倍に?!
金利負担には歯止めがかかる仕組みがあり、そこまでの激変にはなりません。
それでも総返済額の膨張は必至、返済の長期化や追加担保が発生する可能性もあります。

資金計画も、二次取得がアツい

欧米中央銀行の動きから怖い話になってしまいましたが、結論は住宅ローンも借金、借金は少ない方がいい、ということ。
金融商品も、借入金額が少なく返済期間が短い方が、低金利が設定されます。

総額の20%に限らず、可能な限り広く厚く自己資金を用意することが、資金面での家づくり成功の秘訣です。
旧宅の売却資金や贈与・相続などを取り混ぜて、自己資金を50%以上積み上げる二次取得世帯の資金計画は、家づくりの優等生と言えそうです。

このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、アーキシップス京都の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。

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