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一級建築士設計製図試験|エスキースでの判断と『あみだくじ』に横線を加える判断

見出し画像の『あみだくじ』は、上段のスタートラインの並びが①②③④⑤⑥であるのに対し、それぞれ道筋を辿っていった下段のゴールでの並びは①⑤④③②⑥となり、上段と下段では①と⑥以外の4か所で順番が一致していない状態にあります。

『あみだくじ』の形状を、エスキース途中の思考の状態に例えることとすれば、現時点で、不一致を理由に4か所で減点が生じる可能性を抱えていることになります。

出題者がゴールの姿として意図しているものが、スタートラインにある数字の並びであるとしたら、そこをめざして横線を加えながら『あみだくじ』を構成していくことは、エスキース時の思考や判断と同じだと言えるのではないでしょうか。②を一致させようとしたら①が一致しなくなってしまうなど、「あちらを立てればこちらが立たず」の面が、両者には共通してあると思います。

以下、減点の少ない解答をめざし、ゴールとなる下段の数字の並びを出題者の意図しているスタートラインの並びに近づけるため、『あみだくじ』に横線を加える判断について考えてみることにします。

見出し画像の『あみだくじ』には、横線を加えられる位置が複数あります。このうち1か所に加えることで、上段と下段との不一致(減点箇所)を減らすことが求められているものとします。

1.状況を好転させる判断

見出し画像に赤い横線を1本加えたものが<図1>です。
この1本の横線を加えることよって、上段と下段との不一致すなわち減点箇所を2か所に減らすことができています。完璧をめざすことなく、①と⑥の道筋に影響しないところに、1本加えたことの結果となります。

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<図1>

2.状況を悪化させ苦境に陥る判断

同じように赤い横線を1本加えたものが<図2>です。
<図1>と同じような位置に、横線を……たった1本加えた結果は、改善しようとしたところが改善されず、問題のなかったところに新たな減点箇所を生じさせ、出題者が意図していたものとは真逆の姿に辿り着いてしまっています。

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<図2>

3.形勢を見極める大局観

『あみだくじ』を例にした通り、たった一つの判断が、状況を好転させることもあれば、逆にそのつもりがなく悪化させてしまうこともあります。これはエスキースでも起こり得ることで、ここがエスキースの難しいところではないでしょうか。

前にやった課題ではうまくいった判断でも、状況や展開がその都度異なる別の課題では、うまくいくとも限りません。

『あみだくじ』で例えるなら、縦横の線の構成がその都度異なれば、状況を好転させるための1本の横線の位置も、その都度違ってくるということです。

エスキースにおいて部分で下す判断は、その部分のみの改善に留まるのか?それとも全体に大きく影響することに繋がることなのか?ここを見極める……大局観を身につけていく必要があると考えます。

4.掌握可能なシンプルな計画

<図3>は問題になりますので、考えてみて下さい。
ゴールとなる下段の並びを①②③④⑤⑥とするために、必要な横線3本加えて下さい。(難易度★)

ヒントを言えば、スタートして、左に一つずれたら右に一つ戻し、右に一つずれたら左に一つ戻すというように、コントロールしながら規則性をもって構成していけるのが<図3>になります。

このように全体の構成を自分で掌握しながら、エスキースを進めていくことを習慣づけていけば、大局観で形勢を見極められるようになると思います。

『あみだくじ』の構成に例えてみるなら、入り組んだ横線が多ければ多いだけ、『あみだくじ』を掌握することが難しくなります。これは、エスキースにおいても同じことが言え、思考が入り組んだ複雑な状況に陥っている場合、自分の計画を掌握できなくなっているのではないでしょうか。

エスキースにおいては、自分でプラン全体が掌握できるような、シンプルな計画を志向することが重要であり、自分の身の丈にあったシンプルな計画を探求することが、エスキース時間の短縮や判断ミスの回避に繋がっていくものと考えます。

画像4

<図3>

✳以下の記事も参考にしてみて下さい。

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