【フランス建築巡り】サヴォア邸/ル・コルビジェ
パリに宿泊先を構えた旅行中の毎日は、煌びやかにエッフェル塔がひかり、フランスパンを紙袋に包んで歩くパリジェンヌが輝いて見えた。
パリから約1時間、サヴォア邸に向かう電車にゆられたどり着いた町は、うっすらと曇っていて華やかさはないものの、芯のような物を感じる場所だった。
サヴォア邸のたたずむ町
サヴォア邸はポワシーという町に佇む。よく、パリに住む人々とそれ以外の地域に住む人について、かなり違いがある、と言う。気まぐれに立ち寄ったパン屋の店員は英語でコミュニケーションをとることはできなかったが、理解できるのにフランス語で返してくるパリの店員とは違う、心地よい心の距離感があった。
サヴォア邸の魅力
ポワシーの駅から歩いて30分。(バスだと15分前後)突然入り口が現れて、いつも教科書で見ていたサヴォア邸にたどり着いた。
ここで、サヴォア邸の建築な魅力を説明したい。
建築が組積造(石・煉瓦・コンクリートブロック等を積み上げて作る建築物の構造のこと)でできていた頃、壁は構造そのものであり、デザインは壁に依存していた。そんな時代の中、産業革命により新材料の量産化が可能となり、鉄筋コンクリートラーメン構造(柱と梁のみで構造を成立させる)が可能となった。この革新的な技術が近代建築の5原則、①ピロティ ②自由な平面 ③自由な立面 ④水平連続窓 ⑤屋上庭園 を可能にしたのだ。
①ピロティとは
建物のボリュームを地上から持ち上げ2階以上を部屋とし、外部空間となった一階部分をのことを言う。
②自由な平面とは
1階部分の設計を見ると、曲線とガラスを用いて壁を構成している。これは柱が壁に変わり構造体となったからこそ成せるデザイン。
③自由な立面とは
2階の設計を見ても大胆にガラスを用いた自由空間を実現している。壁を自由にデザインできるようになった。
④水平連続窓とは
水平に連続して開けられた窓のことを言う。壁に自由に開口部を設けることが可能となり、建物に一様に光を取り込むことを実現した。
⑤屋上庭園とは
従来の傾斜屋根ではなく陸屋根(平に作られた屋根)を採用し、屋上にも空間を設けることで空へと繋がることを可能にした。スロープを通じて2階層に分かれた屋上空間を楽しむことができる。
建築家ル・コルビジェ
スイス生まれ、フランスで活躍した建築家。近代建築の五原則を提唱した。ヨーロッパ、日本、インド、南北アメリカで建築を設計し、これらの建築群が世界遺産に登録された。日本建築からも影響を受け、サヴォア邸にも引戸が用いられている。
終わりに
すでにサヴォア邸竣工から90年以上たった今をいきる私たちから見ると、この建築の重要性を理解することは容易ではない。しかし技術の発展とその実践の積み重ねにより、今の日常の風景を作っている、それを実現する建築だったことに間違いはない。
読んでいただきありがとうございました。
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