伊志嶺敏子さん vol.10
幕間:宮古のお墓
別分野の話を伺うのは楽しく、ネフスキーの話は新鮮だった。建築を仕事にしていると物の形から新たな形を発想したり、形の意味を読み解くことが多いのに対して、ネフスキーや柳田國男民族学では形のない言葉から考える。柳田國男は東北での調査に今和次郎を伴ったという。スケッチのできる今に民家などの形を収集させ、自身は古老の言葉や民話を採集するという風に役割を分担したようだ。後に渋沢敬三や宮本常一らが民具収集するようになり、民族学も物の側面から変遷を考えるようになったというから、自分の場合はこちらの物の側面からの考え方に近いかもしれない。
たとえば、墓は、物の形から考える例としても最適だ。墓の形というのは、いかようにでもできるのにも関わらず一定の様式を持っている。これはその社会の人々がどのように人生と世界を捉えているかという世界観の発露でもある。
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