【ブルガリア】聖ゲオルギ教会
場所:ソフィア中心部、ブルガリア
時代:4世紀初頭
ブルガリアおよびバルカン半島におけるキリスト教の起源は、すでに1世紀の初期教会時代にまで遡り、使徒パウロと使徒アンデレ(ペテロの兄弟で初代コンスタンティノープル総主教)によってこの地域にも布教され、4世紀初頭には主要な宗教になっていました。聖ゲオルギ教会は、ブルガリアの首都ソフィアにローマ時代から残る、現存する最古の教会建築物です。建物の高さは約14m、建物上部のロトンダ(円筒形の部分)の直径は約9.5mあります。教会は政府機関やホテルの近代的なビルに囲まれた中庭に建っており、そこだけ古いこの教会と周囲の遺跡が残されています。最もブルガリアでは現代の新しい街並みの中に、ふと古代の遺跡が保存されているということがよくありました。
この建物はもともとは公共施設として建てられたものでしたが、ミラノ勅令(313年)によりローマ帝国内でキリスト教が公認されると、多くの信者に洗礼を授けるための洗礼堂として使われるようになりました。古代においてロトンダのドームは少なくとも二回破壊されたそうで、一回目は地震による倒壊もしくは4世紀末から5世紀にかけての西ゴート族とそれに続くフン族が侵攻による破壊、二回目は9世紀初めの第一次ブルガリア帝国と東ローマ帝国の戦い(プリスカの戦い)の際にも破壊されたようです。
1453年に東ローマ帝国が滅亡してオスマン帝国時代になると、第9代スルタンのセリム1世(在位1512-1520年)のときにモスクとして改装され、建物内部のフレスコ画は白い漆喰で覆い隠されました。19世紀後半にブルガリアがオスマン帝国から解放されてから、建物は放置されていましたが、1915年にイスラム時代のミナレットや漆喰は取り除かれて修復されました。現在は再びブルガリア正教会のキリスト教会として使用されており、正統派スラブ人の典礼言語である、古代教会スラブ語による礼拝が行われています。
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