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【キルギスタン】ブラナの塔(バラサグン遺跡)
場所:トクマク近郊、チュイ州
時代:11世紀
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キルギスタンで歴史遺産を目的とした現地ツアーには、首都ビシュケクから80kmと近い位置にあるこの「ブラナの塔」は、必ずツアーコースに入っているほど有名な場所である。この塔が建っている場所は、9世紀末から13世紀の初めまで、テュルク系イスラム国のカラハン朝や西遼(カラキタイ)が都を置いた、バラサグンに残っている数少ない史跡のひとつとなっている。史跡とはいえ、だだっ広い遺跡の敷地に、ぽつんと高さ約24mのレンガ造りの塔が建っているが、建造時はもっと高くて約46mあったと言われている。しかし、15世紀ごろに発生した大地震によって途中まで倒壊し、現在の高さになった。
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ここを訪れたのは、2023年9月12日。駐車場から入口を進むと、この辺で唯一の高層建築であるブラナの塔が見えてくる。ツアーの観光バスが乗り付けない限り、訪れる人も少ない模様。塔には出入り口があるが、高い位置にあるため、そこまで上るための階段が外側に設けられている。塔に入ると、そこからは非常に暗くて狭い、しかも段差が極めて大きな螺旋状の石段を上がっていく。階段の途中で上り下りの人がすれ違うことはできないため、声がけしながら進まなければならない。
狭い螺旋階段といえば、これまで中世ヨーロッパの城や教会で出会ってきたが、このブラナの塔の階段ほど踏面が狭く、蹴上が高いものは見たことがなかった。また長年使われてきたためか踏面の石が滑りやすくなっていて、雨の日などかなり危ない感じがした。幸い転ぶことはなかったが、余計な力が入りすぎていたせいか、たった24mの高さなのに翌日からしばらくは太ももが痛くなってしまった。
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塔の頂上は直径6mほどの展望台になっていて何もないが、周囲の景色を見渡すことができる。天気次第では遠くの天山山脈の雪山を見ることができるらしいが、残念ながら私が見たときは空は霞んでいて、遠景はほとんど見えなかった。広大な景色といっても、周囲は樹木もほとんどなく草原の中に未発掘の遺跡や墳丘があるだけで、興味のない人には全く面白くないかもしれない。ここから見渡すと、敷地内には突厥時代のバルバル(石人)や古代のペトログリフの岩絵、巨大な石臼などを集めている一角が見える。これらは最初からここにあったものではなく、キルギスタンの各所から集められたものである。とても小さな博物館も併設されており、このバラサグン遺跡で出土した土器や石碑などが展示されている。私がここを訪れた目的は、塔よりも突厥のバルバルを見たかったためなので、これについてはまた投稿する予定。
キルギスタン南部には同時代に建造された塔として、ウズゲンの塔(ウズゲン・ミナレット)というものもあり、これがブラナの塔とよく似た形状をしている。
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