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【スペイン】キンタニーリャ・デ・ラス・ビニャス教会
場所:スペイン、ブルゴス
時代:7世紀
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この教会は、スペインに残っているプレ・ロマネスク、または西ゴート建築の代表的な建物で、本来の名前はよくあるサンタ・マリア教会(サンタ・マリア・デ・ララ)となっているが、キンタニーリャ・デ・ラス・ビニャス教会のほうが一般的。初めてここを訪れたのは2002年10月で、このときは管理人が不在だったため残念ながら教会内部を見ることができなかった。まだ朝早かったこともあり周囲は霧が濃く、周囲の寂しい風景と相まって幻想的な雰囲気だった。
二度目の訪問は2005年9月だったが、このときは管理人がいて中に入ることができたが、なぜか写真撮影不可だった。今でもよく覚えているが、地方の、それもさほど訪れる人がいない人里離れた教会で写真撮影がだめと言われたのはここが初めてだった。管理人といっても若い学生アルバイトで、訪問者は私一人だったにもかかわらず、内部の見学中はずっと見張られていてかなり気分が悪かった。これに懲りず是非また行きたい場所なので、今度行くときは予めブルゴス市に問い合わせてみたいと思っている。
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この教会にこだわっているのは、内部の西ゴート建築の代表的な装飾がすばらしいからで、数少ない初期キリスト教の素朴な芸術のひとつである、太陽(SOL)と三日月(LUNA)を擬人化したレリーフを見ることができるからである。あと下に書いているが、ブルゴスの博物館で展示されている、この教会から盗難に遭ったレリーフも見てみたい。よって今回この教会を取り上げるのに、自分が撮影した写真で建物の外観しか紹介できないのは非常に残念。
建築
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建造年代は7世紀末か8世紀初頭とされており、元の教会の身廊部分とドーム型の天井は14世紀に崩壊したため、現在は礼拝堂後陣と翼廊部分のみが建物として残っている。よって周囲にはその他の部分の土台といくつかの墓(石棺)の跡が残っている。ローマ帝国時代と違って、西ゴートの建築にはモルタルは使われず、大きなブロック状の石を積み上げた単純な構造になっている。
石材表面の彫刻では、幾何学的なモチーフ、植物の蔓、幻想的な動物や鳥、ローマ字のモノグラムなどの装飾が見られる。建物内部のレリーフには、建造年代より後の碑文もある。879年にこの教会を修復した人が献納したもので、西ゴート王国滅亡(711年)後のものである。
14世紀に放棄され忘れられた教会は、1920年にその価値が再発見されるまで、近隣農家の家畜の囲いとして利用されていた。
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略奪された教会美術品返還のニュース
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2019年のニュースだったが、2004年にこの教会から盗まれた西ゴートの人物レリーフ2点が、イギリス貴族の庭園で発見されたとあった。探し出したのは、オランダの美術品探偵で、それぞれ重量は50kgほどあり、スペイン政府に返還され、現在はブルゴス博物館にある。
今回見つかったレリーフはかなり幸運なことで、実際には盗まれた美術品が発見されるのは、わずか5~10%程度しかないらしい。書いているうちに気付いたが、私が最初に訪れた2002年にはまだこのレリーフが教会の中に飾ってあったのかと思うと、滞在を延ばしてでも見ておくべきだったと後悔した。
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