【スペイン】サンタ・コンバ・デ・バンデ教会
時代:西ゴート時代(7世紀)、9世紀末に修復
場所:サンタ・コンバ、オーレンセ、スペイン北西部ガリシア地方
西ゴート時代に建設され現在にまで残っている、プレ・ロマネスク様式の教会のひとつで、2002年9月と2005年9月の二度訪問しました。田舎町のかなり辺鄙な場所でレンタカーを長時間運転する覚悟がない人や、スペインのプレ・ロマネスク建築に興味がない人には全くつまらないところだろうと思います。今でこそスマホのGoogleマップがどこでも目的地まで優しく案内してくれますが、当時は紙の地図でルートをつくり、所々車を停めては案内板を確認しつつようやくたどり着いたような場所でした。逆に不便な田舎だったからこそ千数百年もの間戦火にも巻き込まれず、今に至るまで残されてきたのだと思います。プレ・ロマネスク建築の魅力は、建物の質素な美しさと同時に周囲の景色の素朴さにもあると思います。
この教会はもともと680年ごろに建てられたものと推定され、8世紀のイスラム侵入後に放棄されたと思われます。その後、アストゥリアス王国のアルフォンソ3世が872年に教会の修復を依頼した書簡の中で、初めてこの教会について言及されています。建物の特徴としては、真上から見た平面プランが縦横の長さが同じギリシア十字形をしていて、真ん中の部分がドーム状になっていて、天井はヘリンボーン模様のOpus Spicatum技法を使ったレンガ造りになっています。内部にはモサラベ様式より古い西ゴート様式の馬蹄形アーチがみられ、黒っぽい大理石の円柱はローマ時代の建築物からリサイクルされたものです。なお、室内に描かれた装飾用壁画は16世紀ものです。
室内の片隅に「アッチの聖トルクワトゥスの石棺」と言われているものが置かれています。これは使徒ペテロとパウロによって派遣された、スペインの七使徒のひとりである聖トルクワトゥスの遺骨が、1601年に他に移されるまでこの中に納められていたものとされています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?