【キルギスタン】イシク・クル湖
場所:チョルポン・アタ、イシク・クル州
時代:古代~現代
2023年9月7日から19日まで今年の夏の旅行として、カザフスタンとキルギスタンへ行ってきました。そんなわけでしばらく投稿していませんでしたが、また再開したいと思います。
イシク・クル湖は、首都ビシュケクの東約200kmのところにある内陸湖で、世界で2番目に大きい高山湖。東西の幅は182km、南北の幅は60kmで深さは最深668mあり、面積は琵琶湖の9倍もある。地図でみると実感がわかないが、実際行ってみてその大きさに驚いた。また9月の日中の日差しは強いが、標高が1,600mあるためか日陰に入るとすごく涼しい。
西域やシルクロードを題材に、現地まで訪ねて多くの著書を書いた作家の故井上靖氏も、その願いが叶わず、ついぞ訪れることができなかったイシク・クル湖。ソ連時代はここキルギスタンもキルギス共和国として連邦国のひとつを構成しており、イシク・クル湖にはソ連軍の軍事演習場があったため、湖への外国人の立入は一切認められなかったらしい。1980年代、NHKのドキュメンタリーに「NHK特集 シルクロード」という番組があったが、この地域に興味を持ったきっかけは、おそらくこの番組だったと思う。
今回私の行程では、手配した車でカザフスタンのアルマトイからチョルポン・アタに向かったのだが、位置的にはアルマトイのすぐ南にチョルポン・アタがあり、直線距離にして100kmもないくらい。しかし国境をなすように両国間には4,000mを超える天山山脈(支脈)の峻険な山々が壁のように遮っているため、ぐるっと西側をビシュケクの近くまで迂回したコースとなり、結局450km以上の長旅になった。
さて、イシク・クル湖湖岸の長さは約700kmあり、とても数日で見て回ることは難しいので、湖岸にある中でおそらくいちばん大きい町であろう、チョルポン・アタに3日滞在した。湖岸にある多くの町にはリゾート風のペンションやゲストハウスが並んでいるが、あえてここを選んだ理由は、町にはイシク・クル湖で発見された古代遺物の博物館があること。また郊外には古代遊牧民が描いた岩絵の野外博物館があり、湖へのクルーズ船も発着しているので観光には最適だと思ったためである。
それとチョルポン・アタには現地通貨を引き出せる銀行のATMがあったことが大きい。ただ食事についてはさほど選択肢はない。看板にメニューの写真がある普通のレストランへ行くと、料理はたいてい地元のトルコ風のもの。イスラム教が多いのでビールなどアルコール類はなし。しかしメニューには中国から伝わったのであろう麺類や餃子のようなものが何種類もあり、日本人には違和感がなくそこそこおいしい。そういえばもっと西のジョージアやアルメニア、さらにはウクライナやベラルーシでも同じような料理があったが、それらはモンゴル帝国時代に伝わったと聞く。
しかしせっかく牧畜の盛んな国に来たのだから、肉料理も食べてみたい。首都ビシュケクでもそうだったが、洋食を食べたいときはコーヒーショップへ行けばよかった。こちらで言うコーヒーショップは、いわゆる喫茶店というよりステーキなども洋風メニューがたくさんあるレストランといったところだった。ここではビールやワインも置いてある店が多い。ただし英語メニューは全くと言っていいほどないので、翻訳アプリが大活躍した。
ここで失敗したことをひとつ。西欧など観光業が盛んな国と違い、キルギスタンやカザフスタンへの外国人観光客はまだまだロシア人が中心で、欧米人や日中韓の東洋人は少ない。そのため外国語といえばロシア語で、英語表記の看板はほとんどなく、土産物の店をほとんど見かけない。ビシュケクでは、あるショッピングセンターに集中して土産物屋があったが、チョルポン・アタでは1軒しかみなかった。記念に野外博物館や当地の観光地でマグネットを購入したが、町中の土産物屋に比べて非常に高く、最大5倍の差があった。海外では、欲しいものを見つけたときが買い時だと思っているので、仕方がないと諦めたが、5倍はひどい。というか、日本人の物価意識では町中の土産物屋が安すぎたのだが…。
今回は歴史的な内容ではないが、カザフスタンもキルギスタンも古代から遊牧民が活躍した舞台であり、言うまでもなくシルクロードの要衝だったところである。それらについては次回以降投稿したいと思う。