復讐の先に栄光があるのか
人生で初めて韓国ドラマを観た。
今までなんとなく観たことがなかっただけで、機会はいつでもあったのだと思う。けれど、テレビドラマ自体をあまり観なくなった今、海外ドラマというものは私にとって遠い存在だと思っていた。
そんなとき、偶然Twitterで流れてきた予告編の動画が目に留まった。
この作品が観たいと思った。
自分の過去を思い出すのが嫌で、いじめを扱った作品にはあまり触れないようにしていた私だったが、主人公の女性が長い年月を経てから自分をいじめた相手に復讐するというストーリーに惹かれた。
一度見始めたら、止まらなかった。
普段、夕食後に趣味の時間としてゲームをしたりYoutubeでお気に入りのゲーム実況者の動画を観たりしている時間に見始めたのだが、いつの間にか深夜になっていて、それでもまだ続きが気になり、「もう寝ないと明日まずいことになる」とわかっていたのにそれでもまだ見続けた。
一話毎に、引き込まれていくようなドラマだった。
主人公のドンウンにも十分魅力があるのだが、何よりも加害者側の人間たちがすごかった。
表情のひとつひとつが憎らしく、人間として最低だなと何度も思うのに、「もう見たくない」とは一度も思わなかった。
いじめのことなんて忘れて、「あんなの大した問題ではない」と認識したまま生きている加害者たち。成功している人もいれば、燻り続けた生活を送っている人もいる。
加害者グループの中でもヒエラルキーがあって、いじめる対象のドンウンがいなければグループ内でも被害者が出ていたのかもしれないと匂わせるシーンが、なんだかリアルだった。
最終話まで何日かかけて観て、最後には少し泣いてしまった。
悲しいとかつらいという感情ではなく、温かい気持ちになった。
復讐ものを観ていたはずなのに、最終話までの間に何度も、人の温かさや優しさに触れることがあった。
ドンウンは孤独ではなかった。
一人で淡々と加害者たちに復讐するのだと思っていたけれど、ちゃんとドンウンの周りには人がいた。様々な協力者たちはみんな魅力的なキャラクターで、そのみんなのことが好きになる。
ここでは詳しく語らないので(もしかしたらネタバレ全開のnoteを書くかもしれない)、ここまで読んで少しでも気になった人がいたらぜひ、観てほしい。
学生時代のいじめシーンがとにかく壮絶で、3話くらいまではちょっとしんどいかもしれないが、画面を覆ったり音声をオフにしたりして、頑張ってその先に進んでほしい。
でも無理はしないでほしい。「これは自分には無理かも」と思ったら観るのをやめてしまっていい。
実際、私も結構しんどくて、俳優たちのオフショットや撮影時の和気あいあいとした動画を観てしんどい感情を緩和しながら観た。
いじめのシーンがつらすぎて、「早く復讐してくれ。加害者全員不幸になれ」という気持ちが強くなった。そういった視聴者の感情を引き出すためには必要だったんだろうと思ったけど、そのシーンのせいで人に勧めづらい。
けれど観終わった今、「もう一度最初から観よう」とも思った。
全てを知ったうえで最初から観て、「あぁこのとき、この人はこんな風に思っていたんだ」「このシーンはそういうことだったんだ」と初見のときより広い視界で作品を観たいと思った。
2シーズンの全16話。
ネットフリックスに入っている人にはぜひ、ドンウンと加害者たちの人生を見届けてほしい。