HER NAME IN BLOOD Europe Tour 2016 Diary

今から約5年前の2016年、HER NAME IN BLOODは25日間、8ヵ国に渡るヨーロッパツアーを敢行しました。

5年も経った今ですが、HNIB解散ということで、当時は表に出ることがなかったツアーの裏側などを、あらためて書きたいと思います。

このヨーロッパツアーはドイツの人気バンドESKIMO CALLBOYがヘッドライナーのツアーでした。


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ヨーロッパツアーのフライヤー。

ドイツ、イギリス、フランス、ベルギー、スイス、オーストリア、チェコ、オランダの8ヶ国を回るツアーで、ドイツに関しては大都市ではなく、その周辺の2番手ぐらいの規模の都市を回るツアーでした。

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実際に回った都市にマークした地図です

当時ESKIMO CALLBOYはドイツでは大都市圏では2000〜3000人キャパの会場でライブできるぐらいの規模感のバンドだったと思います。そんな彼らが、このツアーに日本からゲストバンドを呼びたがっていると、いつもお世話になっているアジアのプロモーターから連絡がありました。

彼らは当時の時点で、日本でも2012年、2014年と来日ツアーを行っており、2014年に彼らが2度目の来日ツアーを行った際に、僕はツアーマネージャーとして、彼らと東名阪を一緒に回りました。

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2014年のツアーフライヤー

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滞在最終日に彼らの日本のレコード会社WARNER MUSIC JAPANの担当者と共に行った串カツ屋

僕とESKIMO CALLBOYとはそんな繋がりがあったのですが、HER NAME IN BLOODとは、お互いに面識はありませんでした。ただ、2バンドとも日本のレーベルはWARNER MUSIC JAPANで同じ担当で、間接的に色々繋がっているという感じでした。HNIBとしても、初のヨーロッパツアーをその規模のバンドと回れるのは、ヨーロッパ進出への大きなチャンスだしぜひ行きたい!ということで、調整が始まりました。1ヶ月にも渡る海外ツアーとなれば、経費もかなりかかります。1本あたりギャラはいくらか貰えたものの、ツアーバスやフライトなどの経費を計算すると当然かなりの赤字。事務所の上層部には反対されましたが、メンバーの熱意が伝わり、なんとか実現できることになりました。

その頃HNIBは、2016年9月にメジャー1stアルバムを発売し、10月から日本ツアー真っ最中。その前半戦を終えて、ヨーロッパに渡り、帰国してからは日本ツアー後半戦というスケジュールでした。

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アルバム『BAKEMONO』を引っ提げての日本ツアーのフライヤー

しかし、ヨーロッパツアーを終えて帰国直後に、当時のドラマーのUmeboが大麻所持で逮捕され、HNIBは日本ツアー後半戦を全て中止、Umeboは脱退となり、バンドは長い活動休止となりました。この事件により、ヨーロッパツアーでの様子は、リアルタイムでSNSで投稿していた少しの写真や動画以外は、いっさい公開されることはありませんでした。

辛い活動休止期間の後、2017年4月には新しいドラマーとしてMAKIが加入し、みなさんの支えもありHNIBは復活できました。2019年に所属事務所であったTRIPLE VISIONとHNIBの契約が終了し独立するまで、僕はマネージャーとして約5年、彼らと共に歩んできました。

その間に、Umeboも新たにバンドに加入し、WORLD END MANのドラマーとして活動し始めました。個人的な正直な気持ちとしては、WORLD END MANの活動の様子が目に入ると、あまり良い気持ちはしないけど、なんか気になってしまう…そんな複雑な気持ちでした。バンド同士が交わることなく、3年が経ちました。そして、僕がHNIBのマネージャーを離れて少しして、僕はUmeboと会う機会があり、その少し後に、Makotoから「HNIBとWORLD END MANで一緒にツアーをしようと思ってます」と聞かされました。

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詳しい経緯はどちらからも発信はされていないですし、僕もHNIB側からしか話を聞いてませんからバンド同士のストーリーについては僕は書きませんが、簡単な気持ちではなかったと思います。だから脱退から4年もかかったと思う。でもそれを乗り越えてこのツアーは実現しました。

そんなツアーの最中に、HNIBは2021年7月4日での解散を発表しました。

このコロナ禍で何度も延期を重ね、6月20日の大阪でこの2バンドのツアーも無事に終わりました。結果、HER NAME IN BLOODの最後の対バンはWORLD END MANとなったのです。

こうして、バンド同士心に引っかかっていたものが消えたわけですが、個人的には、僕とHNIBメンバーにとって大きな経験となった1ヵ月のヨーロッパツアーのことをちゃんと世に出せていないことが、ずっと心残りでした。ESKIMO CALLBOYとの、そして1ヶ月を同じツアーバスで寝食を共にしたPALISADESとの友情や、初めてのヨーロッパでどれだけHNIBがカマしてきたか、みんなに伝えたかった。

HNIBの解散が決まってから、ヨーロッパツアーのことを形にしたい気持ちが大きくなりました。コロナ禍の今だけど、それでも海外を目標に頑張っている若いバンドマン、裏方さんがいるなら見てほしい。そんな人たちに「コロナ禍が終わったら海外に挑戦しよう!」と少しでも楽しんでもらえたら。そんな思いで当時ツアー中に撮影していた映像、書いていた日記をまとめました。(動画の翻訳を手伝ってくれた方々もありがとうございます)

思い返して加筆したり、削ったりしてますが、基本の文章は、当時ツアーバスの中で書き溜めたものです。残念ながら一部データが消えたりもあって、映像や写真を見ながら思い出して書いたりもしました。かなり長くなりますが、読んでみてもらえるとありがたいです。

DAY1 オランダ アムステルダム到着編

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