【１７７６②~米独立宣言の意義~】

2023年1月18日 21:12

異なる言語・文化・血筋・宗教をもつ人々がアメリカを建国するときに”正義を永遠の基盤”とした背景について詳しく説明されています。

トランプ大統領たちはアメリカ人がこれらの理念を思い出せるようにこのレポートをまとめたようですが、日本人にとっても参考になるのではないでしょうか？

長いので個人的に大事だと思うところを最初に置いておきます🐸⇓⇓

【人間は自然権（人が生まれながらに持つ権利）を確保するために政府を創るのである。政府の目的はまさにこれらの権利を確保することであり、政府がそれを認めるかどうかにかかわらず、政府とは無関係に存在する。悪い政府は、自然権を否定したり無視したりするかもしれないし、その行使を妨げることさえある。】

II. 独立宣言の意義

エリートではなく国民によって運営される珍しい制度

アメリカ合衆国は、ほとんど他の国家と同じである。

他の国と同様、国境があり、資源があり、産業があり、市や町があり、農場や工場があり、家庭や学校があり、礼拝堂がある。

比較的若い国でありながら、その国民は、広大な未開の原野を切り開き、独立を勝ち取り、新しい政府を形成し、戦争、工業化、移民の波、技術の進歩、政治の変化を通して、共通の闘争と成果の歴史を共有してきたのである。

しかし、ある一点で米国は珍しい国である。

一部のエリートの意向ではなく、国民の意思によって政府が運営されるように設計されているのである。

共和制は歴史上珍しい政治形態であるが、現代のアメリカ人はそのことを忘れがちである。

アメリカ合衆国は、二つの決定的な点で、ユニークな存在である。

第一に、明確な誕生日1776年7月4日を持つことである。

第二に、建国の瞬間から新政府の基礎となる原則を宣言しているだけでなく、それらの原則が真実かつ普遍的であることを主張していることである。

他の国にも誕生日があるかもしれない。例えば、1789年、パリ市民がフランスの君主制と貴族制を崩壊させ、フランス共和国となるものが誕生した。中華人民共和国は、1949年、毛沢東の率いる中国共産党が内戦で国民党を破り誕生した。

しかし、違う政権であるが国家としてのフランスと中国はそれ以前にも存在していた。

1776年7月4日以前には、アメリカ合衆国もアメリカ国民も存在しなかった。北米の13のイギリス植民地には、遠く離れた王の臣下である250万人ほどの人々が住んでいた。

その臣民が、自分たちの権利として主張した独立を勝ち取ることによって、国民となったのである。それは、血縁や親族ではなく、理念に基づいて主張されたものである。

しかし、この事実は正しく理解されなければならない。

ジョン・ジェイが連邦主義者2号で説明したように、

『創設者たちはこの一つのつながった国を、一つのまとまった国民に与えたかった。同じ祖先の子孫で、同じ言語を話し、同じ宗教を公言し、同じ政治原則を支持し、風俗や習慣が非常に似ており、共同の努力、武器によって、長く血なまぐさい戦争を通して肩を並べて戦い、一般の自由と独立とを気高く確立した人々たちに。』

家系・言語・宗教が異なっていたアメリカ国民

しかし、創設者たちがよく知っていたように、新しく形成されたアメリカ国民は、この声明が主張するように、家系、言語、宗教がまったく均質なものでなかった。彼らは、完全にイギリス人ではなく、完全にプロテスタントでもなく、完全にキリスト教徒でもなかった。

この新しい民族を結びつけるために何か他の基盤を見つけなければならなかった。

その基盤こそ、【正義と政治的正当性に関する普遍的かつ永遠の原則の主張】であった。

『ジェファーソンは、単一民族による国家の独立のための闘争の中で、単なる革命文書に、すべての人とすべての時代に適用できる抽象的真理を導入する冷静さと予測力と能力を持っていたので、今後すべての日に、まさに暴政と圧制を再びもたらす前触れに、叱咤と足かせになるであろうという名誉ある人物なのだ。』エイブラハム・リンカーン

しかし、これにも条件がある。建国者たちは、共和制が機能し持続するためには、国民たちが風俗、習慣、言語、良識を共有しなければならないことを理解していた。

すべての国家・政府は、その存在が正当化される理由、すなわち正当性を主張している。そのような正当性の主張はすべて偽りであり、被支配者を騙して支配者の行動が正当であると信じ込ませるためのもので、実際にはその行動は一部の人間の私利私欲のためにしかならない、と断じる者もいる。

しかし、この世にある実際の政府はこのように自らを理解していない。むしろ実際の政府は自らを正義だと理解しているのである。

王権神授説

アメリカ建国当時、世界で最も主張されていたのは、王権神授説（神は一部の人間を支配者に任命し、委ねると主張するもの）であった。

アメリカの建国者たちは、この主張を否定した。

独立宣言でジョージ3世を非難した18の項目が示すように、建国者たちは当時の英国政府を抑圧的で不当なものだと考えていたが、彼らは専制君主の独断的な政治を、別の専制君主に変えようとは考えなかった。

根本的にイギリスとの政治的関係を断ち切るために、建国者たちは新政府のための政治的正当性の新しい原則を示す必要があったのである。独立宣言にあるように、「人類の意見を尊重する」ためには、自らを説明し、行動を正当化することが必要であった。

自然の法則と”自然の神”の法則

彼らは、”単にイギリスの支配が嫌いだから”ということを主張したかったのではない。自分たちの行動と、それが生み出すであろう政府の正当性について、道徳的である理由を述べようとしたのである。

このような正当性は自然の戒律の中にのみ見出すことができる。

これらの戒律は、神によって創造されたと考えようと、単に永遠であると考えようと、人間が創り出したものではないという意味では同じであり、変えることもできないものである。

それゆえ、宣言文は「自然の法則と自然の神の法則」の両方について語っている。理性と啓示の両方が、この文書の根本的な基盤であり、この新しい国家の正統性の基盤であると訴えているのである。

すべての人間は平等である

独立宣言の核心的主張であり、建国者たちの政治思想の基礎となっているのは、「すべての人間は平等に造られている」ということである。

もしすべての人間が平等であるなら、誰も他の人間を支配することはできない。平等の原則から、同意の必要性が自然に導かれる。

平等というのは神と自然が人類に偏在させた知恵や才能が、すべての人間に等しいという意味ではない。”人間は生まれながらにして支配者と被支配者に分かれているわけではない”という意味で、平等であるということだ。

トーマス・ジェファーソンは、共和制の思想家アルジャーノン・シドニーの言葉を好んで引用している。

"人類の大部分は馬具を背負って生まれてきたわけではなく、神の恩恵によって選ばれた少数の者が馬具を背負って生まれてきたわけでもない"。

才能の優劣、つまり統治能力の優劣は、神や自然の称号や支配の保証にはならないのである。

建国者たちは「単なる革命的な文書」に、「すべての人とすべての時代に適用できる抽象的な真理」を挿入する緊急の必要性はなかったはずである。

単にイギリス国王に分離独立を告げるということだけでもできたはずだ。

しかし、彼らは宣言の範囲を広げ、その原則が「暴虐と抑圧の再来の前触れに対する叱責とつまずき」として機能するようにした。

人間は権利を確保するために政府を創る

「すべての人は平等に造られている」という真理の最終的な目的は、絶対王政や世襲貴族といった古い形態であれ、まだ想像もつかない形態であれ、不平等への復帰を不可能にすることであった。

自然的平等は、被支配者の同意だけでなく、生命、自由、幸福の追求を含む基本的人権と、他者の権利を尊重するすべての者の基本的義務または責務を認めることを必要とする。これらの権利は自然界に存在し、人間や政府によって作られたものではない。

むしろ、人間は自然権（人が生まれながらに持つ権利）を確保するために政府を創るのである。

政府の目的はまさにこれらの権利を確保することであり、政府がそれを認めるかどうかにかかわらず、政府とは無関係に存在する。悪い政府は、自然権を否定したり無視したりするかもしれないし、その行使を妨げることさえある。

しかし、自然権を否定したり排除したりすることは決してできない。宣言の原則は普遍的かつ永遠的なものである。

これらの原則はすべての人に適用されるべきであるが、建国者たちは全人類の権利ではなく、アメリカ人だけの権利を確保するために行動した。

世界は今も、これからも、国家に分割されている。

国家は国民の権利を尊重すべきであるが、すべての国が国民の権利を尊重するわけではない。

『たとえ、英知がそのようなものであったとしても。わが共和国の設計者たちが、憲法と独立宣言の壮大な言葉を書いたとき、彼らはすべてのアメリカ人が相続人となるべきだという約束手形にサインしていた。この約束手形は、すべての人。白人だけでなく黒人にも、生命、自由、幸福の追求に対する譲ることのできない権利が保証されるというものであった。』マーティン・ルーサー・キングJr