見出し画像

意外と大変!U.S. Census BureauのSurvey対応:どんな調査があり、どんな企業が対象になるのか?

アメリカで事業を展開している企業にとって、U.S. Census Bureau(国勢調査局)からの調査リクエストは重要な義務です。これらの調査は企業の経済活動や構造に関する詳細なデータを収集し、アメリカの経済を理解するための基盤となります。しかし、内容が広範で対応には手間がかかることも多く、時にはペナルティが課されることもあります。このブログでは、国勢調査局が実施する代表的な企業向け調査を紹介し、調査に応じない場合のリスクについても解説します。


1. 経済センサス(Economic Census)

調査内容:

経済センサスは、アメリカ国内の全ての企業を対象とし、5年に一度実施される大規模な調査です。業種別の売上高、従業員数、給与、経済活動に関する詳細なデータが収集され、国全体の経済構造の分析に使用されます。

対象企業:

製造業、小売業、サービス業など、ほぼ全ての業種が対象です。規模にかかわらず、広範な企業がこの調査に参加します。


2. 年次ビジネス調査(Annual Business Survey, ABS)

調査内容:

ABSは、企業の所有者の多様性や経営状況、研究開発(R&D)活動に焦点を当てた年次調査です。特に中小企業やマイノリティ経営者の企業が重視されています。

対象企業:

中小企業、大企業の両方が対象となり、特にR&D活動を行っている企業は詳細な情報提供が求められます。


3. 企業報告プログラム(Company Organization Survey, COS)

調査内容:

COSは、企業の組織構造に関する調査です。特に、複数拠点を持つ企業や親会社・子会社の関係に関する詳細な情報が必要です。

対象企業:

多国籍企業や複数の拠点を持つ企業が主な対象です。


4. サービス業の年次調査(Service Annual Survey, SAS)

調査内容:

SASは、サービス業に関する収益や雇用状況、産業全体の成長に関するデータを集める調査です。サービス業はアメリカ経済の大部分を占めるため、この調査は重要な役割を果たします。

対象企業:

ヘルスケア、教育、運輸、金融、エンターテインメントなど、幅広いサービス業が対象です。


5. 研究開発およびイノベーション調査(Business Research and Development and Innovation Survey, BRDIS)

調査内容:

BRDISは、企業の**研究開発(R&D)**に関するデータを収集する調査です。R&D活動への投資やその成果、イノベーションの進捗が主な調査項目となります。

対象企業:

R&D活動を行っている企業、特に製造業やハイテク業界の企業が対象です。


通知方法

主に郵送で通知されることが一般的です。通知には、調査の詳細、回答期限、オンライン回答用のリンクなどが記載されています。調査によっては、電子メールやオンラインでのリマインダーも利用されることがありますが、基本的には郵便での通知が中心です。


ペナルティのリスク:回答しないとどうなる?

U.S. Census Bureauの調査に対して回答しなかったり、不正確なデータを提供した場合、ペナルティが課される可能性があります。これには以下のようなリスクが含まれます。

1. 法的義務

多くの調査は法律に基づいた義務として企業に協力が求められています。例えば、経済センサスや企業報告プログラム(COS)は、企業が回答することを強制されています。

2. 罰金の可能性

特定の調査では、企業が回答しなかった場合や虚偽のデータを提出した場合、罰金が科されることがあります。例えば、経済センサスでは、1日あたり最大500ドルの罰金が科される可能性があり、未回答の期間が長くなるほどペナルティも増大します。

3. データの信頼性の問題

不正確なデータを提出した場合、政府機関からデータの修正が求められるだけでなく、追加の監査や調査が行われる可能性もあります。これは、特にR&D活動や財務データに関連する場合、企業にとって大きなリスクとなります。


対象企業の選定基準

U.S. Census Bureauが調査対象として企業を選定する際の主な基準は、業種、規模、地域、R&D活動などです。

  • 業種:製造業、小売業、サービス業など、特定の業界に焦点を当てた調査がある一方で、全業種を対象とするものもあります。

  • 企業規模:従業員数や売上高に応じてサーベイの対象になることがあり、大企業も中小企業も含まれます。

  • 地域:地域経済の影響を評価するため、複数拠点を持つ企業が特に対象となります。

  • R&D活動:研究開発を行っている企業や技術革新を推進する企業は、特定の調査で詳細なデータ提出が求められます。


まとめ

U.S. Census Bureauが実施する企業向け調査は、アメリカ経済全体の理解に不可欠です。企業にとっては、これらの調査に協力することは法的義務であり、回答しない場合や虚偽のデータを提出した場合、罰金などのペナルティが課されるリスクがあります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?