私の巻き髪チャレンジ記録〜大蛇とゆるふわ女の子〜

髪の毛を巻く練習を始めて半年以上経つ。

多少は上達した。多少は。

しかし、一種類の巻き方しかできない。

私が唯一できる巻き方……仮に「大蛇巻き」と呼ぼう。これはくびれがたっぷりあって髪の毛全体が同じ方向にうねって大蛇みたいになる巻き方で、それはそれで可愛らしい。

しかし、私がやりたいのはもっとゆるふわな巻き方だ。
巻き髪の魅力とはなんだ。それはふわふわしたやわらかいステレオタイプな「女の子らしさ」だ。

私が巻き髪を始めたきっかけは元彼である。
大学デビューしたとはいえオシャレ初心者だった私は今まで髪を巻くなんていうことについて考えも及ばず、家にあるストレートアイロンすら使いこなせないでいた。

しかし私を好みの彼女に調教したい彼が「巻き髪も見てみたい」と言い出した。
彼は「女の子らしい女の子」に異常に執着がある男だったので、そんな要求をしてきたのも今になれば頷けることだ。
彼と私との間にはしっかり上下関係が出来上がっていて私は彼の言いなりだったのですぐにコテを買って練習した。

最初はそりゃもう、ひどいもんだった。

ふつう何か新しいファッションや髪型に挑戦するとき、近頃の子はYouTubeや TikTokで情報収集をしてから臨むものらしい。最近の若い女の子に「いかにもおしゃれ初心者」といった風情のキテレツな見た目をしているものが少ないのもそのおかげだ。
が、しょせん付け焼き刃の大学デビュー女だった私はその辺の事情がよくわかっていなかった。

なので、やりました。
毛先からひたすら巻きつけるというありがちすぎる失敗。
結果、私の髪の毛は絡まってほどけなくなったまま死んだ蛇のようになった。
しばらくは巻いても巻いても死にかけの蛇みたいな髪型にしかならなかった。

なにかをうまくやりたいなら、大体やらなきゃいけないことは同じである。
学び、実行し、確認し、改善する。
PDCAサイクルを回しまくるのみだ。

私にはその「学び」の部分が欠如していた。
そりゃ髪の毛も失敗して当然だろう。

ただ、さすがの私も現代っ子だったのでインターネットでさまざまなことを調べて「どうやら動画をみて巻き髪を練習するといいらしい」と気がついた。

それからはもう、以前にも増して苛烈なトライアンドエラーの日々だった。
首を火傷した。指を火傷した。髪を傷めた。
それでも私は巻いて巻いて巻きまくった。

結果、「死にかけの蛇」が「ヤマタノオロチ」くらいレベルアップした巻き髪になったのである!

いや、ヤマタノオロチは言い過ぎだったかもしれない。
とりあえずアオダイショウくらいには巻けるようになった。

私はしばらくの間はそれに満足して、たまに髪の毛を巻いて外出なんかするようになった。
今ではツインテールを巻いてみたり触覚を巻いてみたりと、ちょっとした応用もこなしたりなんかする。

ただ、底がないのが人の欲望というものである。
近頃私は今までの大蛇スタイルの巻き髪では満足できなくなってきた。

そう、先ほど述べたように「ゆるふわ巻き」がやりたくなったのだ。

調べると正式名称は「ヘッド外し巻き」と言うらしい。
TikTokを使いこなすようになった私はさっそくヘッド外し巻きの練習に着手した。

………………が、うまくいかない。

きちんとやっているのに、なぜか跡がつかない。
ものすごくゆる〜〜〜……くウェーブがかかっているかな?というような出来になってしまう。

コテをあてる時間を長くしてもダメ、ヘッドを外したあときちんとコテをずらすように意識してもダメ。何がいけないのかさっぱりわからないが、なぜかうまくいかない。
ごく稀に成功する時もあるのだが、成功した時と失敗した時のやり方の違いが自分でも不明なために完全に詰んでいる。

今日だって、少し遠出して都会に行くからめかしこんでいこうとヘッド外し巻きに挑戦したのだがやっぱり失敗してしまった。
いつものようにゆるい巻きにしかならなかったのだ。

絶対に巻いていきたかった私は髪が傷むのを承知で大蛇巻きをやり直したのだが、ヘッド外し巻きが失敗した跡が残っていて変な巻き方になってしまった。

鏡に映ったどう足掻いてもリカバリーできなそうなうねうねの髪を見ながら「外出したくない」と思い詰めたが、どうにか三つ編みをすることで乗り切った。リカバリーできたやんけ。

幸い今日は私のビジュもよく、外出を楽しむことができた。

ただ、これでは根本的な解決になっていない。
毎回半泣きで三つ編みをするわけにもいかない。
なにより、うまくできないままでは私のプライドが許さない!
というわけで、これからもヘッド外し巻きの練習は続けたいと思う。

大蛇巻きは一旦よして、ゆるふわな女の子に!
そんな目標を掲げて、もうしばらく奮闘したい。

…………まさか、私にゆるふわな女の子らしさの
素養がないからできないなんてこと、ないよね?

おしまい!

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