ラピュタへの道43 川崎マリンエンデューロ編
今年の目標の一つであった「レースに出場する」が完了した。
10の目標の中でもかなり重要度は高く、また達成できない可能性をうっすら覚悟すらしていた、ある意味夢物語感さえ漂っていた目標だった。
コレを達成できたのはデカいㇲ。自分を褒めてやりたい。ヨシヨシ。
何もかもが初体験で、おっかなびっくり挙動不審に、邪魔にならぬようすみっコぐらしで、時間厳守過ぎて、謎にワイ一人だけ試走でコースを2周してしまい、最後尾になって、注意事項のアナウンスも全く聞き取れないまま、あれよあれよと事は運んで時は過ぎ、ゆく川の流れは絶えずして、盛者必衰の理の余裕などは全く無かったけど、プレッシャーやら緊張やらは感じていない自分を意外に思わないということはつまり余裕はないのか?と禅問答と動的瞑想をしながらの迷走が始まろうとしていた。
ワイが出場したのは初心者のカテゴリーで、半分くらいが高校生くらいの若者。
その中のやけにテンションの上がっている一人がさかんに「カテ詐欺がいるカテ詐欺が!」と知り合いらしき若者を指差し騒いでいる。振るわなかったときの保険を張っているのだろうか?
スピーカーから司会者のカウントダウン。一斉に踏み込むわけではなく、先導のオートバイに付いて行って、直線に入ってしばらく走ったところでオートバイのホーンが鳴って本スタートとなった。
これがローリングスタートってやつか。と感慨に浸っていると、ハイテンション若者らがスタートから飛び出した。
恐らく自分を抑え切れずに飛ばしているのだろうから、あれに付いていったらワイも自滅するだろう。抑えろワイ、抑えるんだ!とワイの頭の中の段平がリングを叩きながら叫ぶ。
いいぞワイ。大人の走りだぜ…と結構余裕があった。
なんとなくレースが落ち着いてきて、ワイも自分の冷静さを確認してから踏み込み始めて、着実に順位を上げていった。
コースを1週したくらいに高校生らが見えてきた。
彼らは二人で、協調して列になって走っているが、ローテーションとかはしていなくて、「レースで走っているぜ俺達」に浸っているように、ドリンクを飲んだり、首をコキコキ鳴らしながら、こなれている風だがそれほど速くはないスピードで走っていた。
ワイは彼らの後ろにピッタリと付いてみた。
初めてのドラフティング。
おお!確かに楽だ!
この日は物凄い強風で、別カテゴリーのガチな人々ですらそれほど高速ではないように見えたので、我々など相当遅いペースだったろう。
ワイはドラフティングを味わうようにピッタリと若者に気づかれないよう静かに走り続けた。残りが3分の1くらいになり、最後の折り返しをして来た別カテゴリーの選手たちとすれ違うときに、ワイの前のハイテンションが「速えよ!」と言った。
どうやらカテ詐欺疑惑の高校生が、別カテゴリーの先頭集団の最後尾にいたのだった。
しもた…ヤツを忘れていた!相当差がある…。
残りの距離からして追いつくのは無理だろうと思ったが、できる限りのことはやろうと、スピードを上げ二人を一気にパスした。
が、折り返すととんでもない向かい風。
ドラフティングの重要性を身を以て体験した。
頑張っても速度は出ない。25㌔とかだ。
それでもがんばったワイ。
一瞬だがハイテンション高校生がワイのドラフティングに入ってきた。
ワイは大人気なく容赦ないエアロポジションで踏み続けた。
恐らく別カテゴリーの先頭集団からこぼれてきた人々を結構抜いた。ハイテンションもいつの間にかいなくなった。
しかしカテ詐欺高校生は全く見えてこない。アノヤロウカテ詐欺じゃねえか!と苦し紛れにつぶやきながら最終コーナーを曲がると、ゴール付近の実況放送で「ノービスクラスはここでゴールでーす」と言っているのが聞こえた。
恐らくあのカテ詐欺高校生がゴールしたのだろう。
ワイの周りには結構いっぱい走っていた。
どのカテゴリーの人々なのかはよくわからないままワイは下ハン握ってスプリントのマネごとで数人抜いてフィニッシュラインを越えた。
一体ワイは何位なのだろうか?と思うよりも、このあと一体何処にいけばいいのだろう?という疑問のほうが大きかった。
よくわからないままコースを外れ、受付のある方で停車した。
なにはともあれ無事完走した。
たった2周。10㌔強。
それでも楽しかった。少々悔いは残るが、達成感満足感充実感が込み上げてきた。
奥様が駆け寄ってきて「結構いい成績なんじゃないの?」と興奮気味に言った。
ちょっと誇らしかった。
このあとはどうすればいいのだろうかと、キョロキョロしていると、アナウンスで「1時間エンデューロが終わりましたらノービスクラスと合わせて表彰式を行いますので、盛り上がりたいので皆様ご参加くださいね」と言っていて、別カテゴリーが終わるまでは待機っぽかった。
果たしてワイは何位なのだろうか?
受付で聞いてみると、速報のQRコードで確認できると教えてくれた。
そこにワイの名前があった。
おお!と言える成績だった。
順位はさておき、こんなにもの達成感は久しぶりだった。
例えようと自分の人生を振り返ってみたのだが、もしかしたら一番かも(ほんの10人程の中の上位だったが)。
ますますロードバイクが好きになった気がするし、今後のロードバイクとの付き合い方も違うステージへと移行した気がする。
とっくに人生の折り返し地点は過ぎたろうから、もっとやりたいことを優先すべきかななんて考えてしまう。
仕事を変えてでもとかやるべきなんじゃないかとかちょっと本気で考えている自分がいる。
一時的な気の迷いか?
応援に来てくれた奥様のおしゃべり(ウチのレンジのマイクロ波は下から出るからムラが少ないらしい…)に相槌を打ちながらも、ワイの中に何かが芽生えるのを感じ、この気持ちは大事に育てるべきだと感じていた。
数年後、この瞬間が転機だったなと思えたらいいな。
そう思いながらワイのデビュー戦は終わった。
ワイがレースに出るにあたって、ちょっとした心配事がどうだったかを記す。誰かの約に立てれば幸いです。
1.ゼッケンは安全ピンでウェアに刺すの?
A.安全ピンだった。しかもゼッケンは厚めの紙で、付けるのに結構手間取った。
しかし絶対に安全ピンでなきゃいけないというわけではなさそうだ。
一張羅のラファのジャージに穴を開ける勇気はワイにはないㇲ…。次回は強めのクリップを持参しようと思う。
2.出場の時間まで自転車はどこに置き、カギとかはどうする?荷物とかは?
A.自転車の置き場は特に決まりはなく、各々邪魔にならないところに置いていた。盗まれそうな気配もなかったからワイはトイレの脇に立てかけて、自分の自転車が見える範囲からレースを観戦していた。
多くの人は車で来ていたので車に積んでいたようだ。
荷物は受付に預けられた。
3.うーわ。あいつ初出場丸出しの素人じゃねえか…という目で見られないだろうか?
A.全然そんなこともなく、知り合い同士集まって談笑していて、ワイを気にする人はいないし、ワイのようなボッチもたくさんいた。
4.受付で何か素人にはわからない常識を振りかざされるのではないか?
A. 全くそんなこともなく、名前を告げると、ワイ用のセンサーとゼッケンを探してくれて、受取り、自分で結束バンド(2本)でセンサーをフロントフォークに付け(大体の人が左側につけていた)、ゼッケンを左脇に付けるだけだった。
このゼッケンもそんなに厳しい決まりがあるわけではなく、左脇腹に縦に付ける人が多かったが、横につけてる人もそこそこいた。ワイはポケットの縁の生地が厚くなっているところに沿って安全ピンを刺し横向きに付けた(左ポケットの左端から、真ん中ポケット右端にまたがった。特になんの注意もされなかったよ)。
5.集合の際、どのような順番で並ぶのか?
A. 特に決まりはなかった。早い者順だった。ワイは時間ギリギリまでコースを試走していたので一番最後尾になってしまった。
レースにもよるだろうけど、試走はみんな1周しかしていなかった。ワイは「なんかまだ時間あるな…」とか思って2周した。コース上に誰もいなくなってちょっと焦った。
6.レース中、非常識な乗り方をしてしまうのではないか?
A. コレはちょっと今回の初心者カテゴリーを走っただけではなんとも言えない。
とりあえず今回は特になんのトラブルも、事故も、罵声を浴びせられることもなく、無事に完走できたし、他のカテゴリーで怒号が飛び交ってもいなかった。
ただ落車は何人もいて、救急車も呼ばれた。結構なケガだったようだ。気をつけよう。
7.レースが終わったらどうすれば?
A. 各カテゴリーの最終走者がゴールしたら表彰式が行われた。淋しい表彰式になってしまったら運営側もやる気なくなってしまうだろうから参加すべきだと思う。大きな拍手をしましたよ。そして解散となった。
こんなところか。
レースに出てみたいけど、ちょっと踏ん切りがつかない人、休日休みが中々取りづらくて出場出来ないんだよなぁって人、初めて一回出ただけのワイが言うのもなんですが、少々強引でも出たほうがいいですよ。
はぐれメタルを倒したくらいの経験値になりますぜ。