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ラピュタへの道39 ワイの夏休みは大ダワへ

 4日間の夏休みを消化することとなった。
3日間は旅行なんぞに行った。
 で旅行中頭の中をしばしばロードバイクで何処かに行ければ…なんて思いが過るのだった。

 3日目の夜、旅行から帰宅し、就寝し、翌早朝3時に起きる。
 ワイの夏休みのはじまりだ。

 ここのところあまり走れていないし、暑いし。100キロくらいにしておこうと、湘南国際村でも行こうかな、と4時に走り出す。

 まだ暗い。誰もいない。多少蒸すけど暑くもない。ギアチェンジの音が心地よく響き、ホイールの回転する音がワイに力を授ける。

 ヒルクライムしよう。
 ワイは檜原村方面へと進路を変えた。

 都民の森?いやいやあそこはキツイし長いし車も結構いるしな。
 鶴峠?いーねー。でもこっちも長いんだよな…気温が上がってきたら危険かもな…。
 和田?んー行くまでの道があんまり好きじゃないんだよな…ラピュタ行くときのちょっと重い心境になっちゃうんだよな…。
 つまりラピュタにも行きたくないしな…キツイから。
 じゃ、入山?結構最近行ったしな。
 小津坂?いやいやもうちょっとパンチがほしい。
 風張林道?ありすぎ!パンチ!
 いっそ奥多摩方面?遠いな…。
 大ダワとか…?野生の動物いそうだ。行ってみっか!

降らなきゃ良い。

 脳内ミーティングが終わる頃には夜が明けていた。 
 やや抑え気味ながら順調に福生南公園を通過し、ちょっと眠いからマックでコーヒーでも飲もうと立ち寄る。 
 大ダワはなかなかの峠だ。しっかり休憩を取ってから挑もうぞ!
 しかしまだオープン前だった。24時間じゃないんだ…。施錠を解きながら少しテンションが下がる。 帰る…? そんなもう一人のワイに、いやいやいやここまで来たんだから!と無理やり檜原村方面へと走り出すけど、なんかスピードに乗れない。 それでもどうにか檜原村役場を通り過ぎ、都民の森方面とは逆へと右折。 

帰りにドーナツでも食べよう、とか考えてるワイ。

ちとせ屋が見えると、ワイはちとせ屋の裏道に入っていった。 ちょっとした上りが始まる。道は狭まり林道が始まる。

払沢の滝まではロードバイクでは行けないから見たことはない。 

 そんなに暑くもないけど汗は滴る。
 でも森の中を走るのは気持ちが良い。
 調子に乗って、こないだのツールのときのポガチャルみたいな高ケイデンスの上りを真似してみる。やめときゃよかった。

登ったつづら折りを見下ろすのは一つの幸せだ。

 舗装は良く、人気はない。マイペースで登りながら、昨日までの旅行のことを思い出したり、明日からの仕事のことを考えたり、その落差の間にこうしてヒルクライムしていることはとても正しいことのような気がして来て、キツイとは一度も思うことなく、心地よく登り続ける。
 ちょっと乗れない日々が続いてなまっているだろうなと覚悟していたのだが、意外なことにクイクイ登れた。

これは道ではない。なんとなく撮った。

途中写真を撮りながら気楽なヒルクラを楽しみながら、何か違和感を感じ始めた。
何だ?この感じ。何かがおかしい。
 その感覚の源を探りながらも登りは順調だ。
 途中大きめの枝が落ちていて、それをどかしたりしつつも、小さな胸騒ぎはなくなることなく、むしろ広がっていく。

ダウンヒル中に踏んづけたら大変だ。

 一瞬森が開け、この峠一番の絶景ポイントに来た。

そんなに登ってないけど凄く登ったような気がするポイントだ。
結構な断崖っぷり。

 風は爽やか、日差しは強め。
 夏休みの締めくくりに相応しい風景を堪能し、さああと少しと登りを再開。
 しかし胸のつかえが取れない。何だ何だと考えていると不思議とペースが上がる。
 そんなこんなで頂上に着いた。

確かこの先が峠のピーク。

 あ、ここ時坂峠だった。

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