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ラピュタへの道26 ブレインシャッフル編

いつの間にか12月ですな。
歳をとると時間が速く感じると言いますが実際、現実的に本当に速くなっている気がする今日このごろ。誰か頭の良い学者さんとかそういう切り口で研究している人いないかな。

このブログを書くようになって、書くことが楽しくなってきた。ロードバイクを始めて書くことが好きになるとはイトヲカシ。

今月中に有給を1日消化しろと言われ、突然の休日。
オクサマには普通に仕事ということにして1日ロードバイクに乗ることにしたワイ。
世の奥様方、男なんてこんなものですよ…。

前日の仕事中も「明日どこ行こう」とワクワクし通し。
普段のライドは我が家の暗黙のルール午前中縛りがあるので行けるところも限られていたのですが、1日中乗れるとなるとそりゃあワクワクが止まりませんよ!

で、休憩時間にごつ盛りを食べながらあれこれ考え、ウチから自走で行ける最も遠いのは上日川峠という結論に達した。

試しにサイコンでルートを作ってみると、全長250キロ、獲得標高4000mになった。
これはすごい。ワイにとっては未知の世界。
今まで最長は200キロ弱。標高は2500mくらいだったと思う。
やってやろうじゃないの!
オクサマには「今日は疲れた」とか言って早めに就寝するワイであった。

目が覚めるともう6時。4時に起きるつもりだったのだが…。ホントに疲れてたみたいだ。

速くも暗雲が立ち込める。
それでもなんとかオクサマが目を覚ます前に出発す。
2時間のロスはでかい。しかし今日は1日あるんだ、行けるところまで行こうぞ!

30分走ったところで上着を脱ぐ。空気は冷たく温まった体に心地よい。


といつもの多摩サイ〜尾根幹を抑え気味にひた走り、相模湖辺りで、こんな山道走るんだっけか?と思いつつサイクルコンピューターのナビに従い名もなき峠をクライムして痛恨のミスに気づく。
違うルートをロードしていた…。

あわててグーグルマップで予定のルートまでを調べるが、戻るよりもこのまま突き進んで修正したほうがよさそうであった。

さあどうするワイ。
このまま修正して上日川峠を目指すか?
コンビニで休憩しながら考えた末、上日川峠は諦めることにする。
あくまで今日は仕事という体。いつもの帰宅時間までに帰れなかったらシャレにならん。
それに初めての道。予想外のトラブルもあるだろうし、何より時間に常に追われるのはあまり楽しいことではない。
今日という秘密の休日を心ゆくまで楽しもう!そうだそうだ!

松姫トンネルを抜け、今川峠を登る。ここまでは予定通り。その後裏風張峠を登って帰ろう。と決めた。

少々時間にゆとりが出来たので、途中の駅に寄ったりする。
知らない駅ってちょっとアガる。

線路沿いの甲州街道を離れ、139号線に入る。

岩殿山という雄大な岩?山?が遠くに来た感とともに出迎えてくれる。

この139号線、車はそれほど走ってなく舗装も悪くなくなかなか走りやすい。
いくつかののどかな集落を抜け、名も知らぬ山々に思いを馳せたりしながら心地よい速度で走り続ける。
簡単には片付けられない自分の中の問題のことを思い出したりもするけど、いつもみたいなため息は出てこない。

神社の形も様々。なぜだか気まぐれでワイの憑き物を取ってくれるような気がした。なんだ憑き物って

程よいアップダウンを繰り返すうちに深城ダムに到着する。
トイレを借り、昨日仕事帰りに買った値引きのおにぎりを2つ食べ、半自動システムでダムカードをゲットし、ダムの上を軽く往復してから再び出発した。

日本全国のダムカードを全て集めると、水道代が一生タダらしい。…という都市伝説はない。

2時間に一度休憩を取っているから疲労感はまるでない。どこまでも行けそうだ。やがて松姫トンネルに辿り着く。

これは松姫トンネルの隣の廃道となったトンネル

松姫トンネルは真っすぐで長い。
舗装もキレイで走りやすい。
天井も高く、照明は明るい。
経験者ならわかってもらえると思うが、ロードバイクでトンネルを走るのって結構プレッシャー。
車のエンジン音がとても響き、相当遠くから迫ってくるのがやけに大げさに圧を与えてくる。
抜かれるまでの時間も長く感じられ、響き渡るエンジン音も爆音となる。
ダンプとかだったらトンネル内に轟き渡るそれはこの世の終わりみたいだ。
ところが松姫トンネルは車がほとんど通らない(時間によるのかもしれないが)。
なので、トンネル内に車の走行音は聞こえない。聞こえるのは、ぐわぁぁぁぁぁ…というトンネル音(?)だけだ。

そんな中黙々と走っていると段々スピード感覚が麻痺してきて走っているのかどうかわからないような感覚が微かにしてくる。
遠くから車のエンジン音が聞こえてきて、いつもならストレスとなるのだが、このトンネルでは現実世界に引き止めるためにやってきた味方みたいに感じられる。
でもやがてその味方がワイを抜き去り遠くへと行ってしまうと再びトンネル内はぐわぁぁぁぁぁ…という異世界へのイザナイのサウンドエフェクトみたいなのが満ち満ちワイを何処かへ連れ去ろうとする。
ずっと上りだったトンネルはピークを越えて下りとなるとスピードも上がるのだが、イザナイは変わることなく続いて、温度だけが下がって、いよいよ違うどこかが近づいてきたみたいな気がする。
ようやく出口の光が見えてくる。
ぐわぁぁぁぁぁという音も軽くなっていって、外界に解き放たれる。
すぐに違うトンネルに入るけどこれは短い。
そしてようやくシャバへと帰ってきた。
この開放感はなかなかで、MRI検査が終わったときみたいな(知らんけど)、加圧式トレーニングを終えたみたいな(やったことないけど)、悪の組織にブレインシャッフルをされたみたいな気分(これはある。嘘)だ。

悪い気分ではない。
自分の中に常にある解決の見通しの立たない問題とか、いかんともしがたいジレンマとか、思い出すだけでちょっとブルーになることとかが薄らいだような気がした。
興味ある方はそんな心持で突入してみては?日頃の何かが変わるとか変わらないとか…。
【追記】これのせいかどうかは定かではないけど、実際いろんなことが好転した気がする。あくまで気がする、だけど。

道の駅で休憩

すぐに道の駅こすげに到着。
ちょっと有名なチャーちゃんまんじゅうなどを食べながら休憩。
まだ14時過ぎ。帰宅予定時間は20時半なのでまだ6時間ほどある。
いい一日だ。
まだ終わってないのにいい一日だと思えるのは本当にいい一日だなぁ。

体が冷え切る前に出発。
やがて今川峠入口に到着。

ナントカ神社

15時前。これから今川峠ヒルクラして、風張峠も奥多摩側から登る予定。
今日はずいぶん登るなあ。

今川峠は短いけど静かで良い感じだ。最後になかなかの斜度になる。
それから411号線に入り風張峠を目指す。

16時。裏風張峠入口。

そろそろ日が落ちそう。
暗い時間のヒルクライムは初めてだ。
ここまで2000m以上登ってきて、更に標高1000m越えの風張峠を登って大丈夫だろうかワイ…。
ワクワクと不安に包まれながらも、ここまで走ってきて足にまだ余裕があるのも感じていたので、どこか自信もあった。

そろそろ日の入り

それにしても今日一日走ってきたけど、ほとんどサイクリストとすれ違わない。
メジャーなルートではないけれど、今日は土曜日だぜ?
お前は一生ボッチライダーでいろと言われてるみたいな気がしてくる。いいけど。決してひねくれ強がりじゃないですよ…。
まぁ、かの有名な都民の森に到着すれば、遅い時間とはいえサイクリストの1人や2人余裕でいるでしょう。

到着。

17時15分。
人っ子一人いませんよ、奥さん。
気温も一気に下がり、缶コーヒー飲んだって汗は冷えますわ。
下山してきたハイカーに「もう門が閉まりますよ」と宣告され「あ、ありがとうございます」と久々に声を発したワイ。
持参した最大防寒装備を装着し(二重手袋、マスク)、ダウンヒル。

都民の森からのダウンヒルをするときいつも思う。
結構飛ばしても役場まで30分以上かかる。登りで40分台の人って…嘘でしょ?
50分切る人は皆きっと原付きで登っているに違いないと毎回確信する。

武蔵五日市駅を通り過ぎ、流石に疲労感を感じ、マクドナルドで休んでから出発。
時間に余裕はなくなるけれど結果正解だったと思う。
そこからノンストップで走り続けたけど足が売り切れることなく予定時刻に何事も無かったの如く帰宅。
いつもの日常へと帰還した。

ワイのささやかな大冒険は終わってしまったけど、そこには大きな満足感があり、当初予定していた上日川峠には行けなかったけど行けるという自信も獲得し、ロードバイクの素晴らしさもひしひしと味わえてとても良い秘密の休日となった。

結構走って登ったなぁ。

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