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短編小説

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#第2回note小説大賞

終焉の星

終焉の星

「星が消えるんだって。」

「なに、それ?」

わたしのベッドの横には、いつも同じ丸椅子が置いてある。

そこに腰かけて、慣れた手つきで真っ赤に熟れたリンゴを、器用にうさぎの形にしている彼が、静かに言った。

目線は手元の果物ナイフに落としたままだったので、彼がどんな表情でそれを言ったのか、いまいち私には分からなかった。

「はい、できた。」

「ありがとう。」

彼が差し出したリンゴを受け取って

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