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スプレーマム栽培で最高賞~愛知県豊川市の山田裕也さん

 愛知県豊川市でスプレーマム(スプレー菊)を栽培する山田裕也さん(41)が、2023年度の花き技術・経営コンクール(一般財団法人日本花普及センター主催)で最高賞の農林水産大臣賞に選ばれました。
■ICT(情報通信技術)で生産性向上

花き技術・経営コンクール最高賞の農林水産大臣賞を受賞した山田裕也さん

 山田さんはICTを活用し、生育管理や従業員の昇給制度の「見える化」などを農業に取り入れてきました。3月26日開催のJAグループ愛知記者会に出席した山田さんは、収益を3割向上させた背景などを詳しく説明してくれました。
■JAひまわり職員から親元就農
 山田さんはJAひまわり(豊川市)で勤務し、2009年から夜間、名古屋大学大学院経済学研究科で学び、経済学修士号を取得しています。
 2011年度に退職し、実家で就農する「親元就農」で本格的に花き栽培に取り組みます。2年後に親から事業を承継し、スプレーマム栽培の生産性向上にチャレンジしていきます。
 記者会で山田さんは「スプレーマムは品種改良が盛んで花びらの大きさや形、色彩などが多彩」と説明しています。最近はウエディングブーケにも使われる人気の花です。
■産地発展へ
 産地を支えるJAひまわりスプレーマム部会を2012年度と令和の2022年度で比べてみましょう。
・部会員数は、68人が51人
・栽培面積は、21㌶が16.2㌶
・出荷量は、19.9万箱が15.6万箱 
 いずれも21%~25%も減っています。山田さんは2023年に豊川市農業委員会会長に就いたこともあり、産地の発展に知恵を搾ります。
■ノウハウを産地で共有 
 先ず隗より始めよ。

山田さんが記者会で説明した画面

 【収穫本数の向上】
 ICTを活用しててハウスの環境制御に取組みました。病気予防などでロス率の低減も進めます。 
 【回転率向上】
 定植から90日かかるスプレーマムですが、環境制御や品種選定も含めて80日に短縮しました。
 【生産性向上】
 花ロボ(1200万円)導入で箱詰め時間を短縮したり、作業員の生産性を示す「星取表」を設け、作業項目ごとに評価して時給のアップにつなげて意欲を高めています。
 山田さんは3か月に1回、作業員と面談し、細分化した各作業をカイゼンするようにして、全体の生産性につなげています。
 ■経営の中で大切にしてきたこと 
 最高賞の農林水産大臣賞の授賞理由には、「安定的な経営、栽培技術が科学的、改善意欲が盛ん、生産性が高く所得が水準以上」(要約)とありました。 特に科学的なアプローチとして、土地の生産性では「10アールの」土地でどれだけ収穫できるか」を掲げ、何回転させられるかなど工夫をしてきました。その結果、就農時に定植160本だったものが現在170本、1回あたりの収穫本数は就農時140本が160本に向上しています。
■思いは産地愛 
 ここまで読んでいただくと、がむしゃらに経営効率化を進めるモノづくり産業のようにも思えてきますが、実は農業らしく産地愛にあふれています。自分だけの所得向上ではなく、産地で共有する試みこそ、JAひまわりスプレーマム部会の底力だと感じています。
(2024年5月28日) 

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