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名古屋のオリーブ栽培~JA天白信用が挑戦中

 30年程前、名古屋市の住宅地、天白区内を車で走っていたとき、白い花の咲いた梅の木があちこちに目立っていたことを思い出しました。
 そのころ、市街化区域内の生産緑地として指定を受けた農家は、梅の木を植えてきました。生産緑地は固定資産税や相続税などで優遇されることもあり、住宅地の中の梅畑という景色が生まれたのです。
■梅からオリーブへ
 30年後、梅の木も老木となりま、農家も高齢化で農薬散布など手入れが大変になってきました。老木の植え替え時期を迎え、地元農家が2014年にオリーブの試験栽培を始めていたのです。2018年から収穫ができるようになりました。
 病害虫が少なく、農薬散布などの管理が梅よりも簡単で、若い世代にも栽培意欲がわく栽培品目ということで地元のJA天白信用が注目しました。生産緑地が維持されていくことも期待できそうです。
 オリーブの実は生では食べないので、主に搾ってオリーブオイルに加工することが必要です。搾油のためには、まとまった量が必要ということで、生産者に声をかけ、2023年に11人が109本の木を植えました。
 24年には11人が74本を植えました。農家22人が計183本となり、将来、まとまった量が見込めるようになりました。
■ブランド化 

JAグループ愛知記者会でオリーブの栽培について説明するJA天白信用の担当者


 JA天白信用は25年2月に搾油機を導入し、同年10月から稼働させる計画です。それまでは械操作に習熟していく予定です。
 オリーブの実は、9割以上が搾りかすになります。収穫が少ないなかで、搾油量はまだ少なく、価格は輸入品に比べてかなり高くなります。国産オリーブとしてブランド化も検討して、100㌘3000円をめどに準備を始めています。
■課題への挑戦
 9割以上が搾りかすです。これを飼料や肥料として活用していくことも課題のひとつです。
 販路確保もあります。販売先は国産志向や健康志向という特定の顧客をターゲットにすることになりそうです。担当者は「小豆島の国産オリーブを意識しながら、価格を決めたい」と戦略を練っています。
 HACCPに沿った製造工程も整えて、長時間になる搾油作業をJA職員で分担できるように工程表も準備中とのこと。
 数年後、住宅地の梅畑が、緑の実をつけたオリーブ畑になる日も近そうです。
(2024年11月23日)
 

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