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規格外トマトで育てる黒豚と愛情「ぎゅー」でつかんだ和牛甲子園の栄冠~渥美農業高校
黒豚と和牛と赤いトマトの話です。
舞台はJA愛知みなみ(愛知県田原市)の渥美半島。JA愛知みなみ青果販売課の鈴木智(あきら)さんによると、トマトの出荷場で選別すると、キズのあるトマトが見つかります。収穫の時にキズがなくても、空気中の水分を吸収して裂果することもあります。こうした規格外トマトは、年間平均で毎週250㌕にもなるそうです。
これまでは全量を破棄していましたが、地元の県立渥美農業高校が規格外トマトを活用するプロジェクトを始めたことを知り、昨年5月から週2回、30㌕ずつ無償提供することになりました。
ちなみに大玉トマトを試食してみましたが、糖度が高く、香り高いトマトです。
渥美農高ではまず6頭を選び、規格外トマトを給餌しました。担当の尾崎智子教諭によると、丸いままのトマトを与えたところ、鼻先で転がすだけで、エサと認識しなかったそうです。そこで、生徒らがミキサーにかけて細かくして、エサに混ぜて与えるようにしたところ、食欲が増進したといいます。「トマトの香りが良いので、エサを持っていくと豚が寄ってきますよ」と尾崎先生は言います。いまでは同校で飼育している約50頭すべての黒豚がトマト入りを食べています。
JA愛知みなみでは、これまで費用をかけて破棄していましたが、渥美農高とのコラボで規格外の25%がエサとして有効活用されるようになっています。渥美農高にとっても食欲の落ちる夏場の心配がなくなりました。なにより飼育されている豚にとっては、美味しい話です。
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