「自助・公助・共助」+「近助」~まるごと安否確認訓練の全員参加へ
朝8時にサイレンが鳴り響きました。すぐ「この家は無事です。」と書かれた安否確認札を玄関のドアノブに掲示しました。
9月5日(日)の防災週間最終日。名古屋市の区民を対象に一斉に行われた「まるごと安否確認訓練」です。私のエリアの住宅20戸の様子を調べてみると、掲示したのは9戸で、45%に過ぎませんでした。
安否確認訓練の案内には、往年の人気番組、ザ・ドリフターズの「8時だよ!全員集合」にあやかって、「8時だよ!全員参加」を呼びかけていましたが。
2021年12月に同じ区のある学区で実施した安否確認訓練では、76%の住民が参加していました。今回も感染症の拡大が続く中で、人との接触が少なく、札を玄関に出すだけの初歩的な訓練でしたから、7~8割の数字を期待していのですが。
名古屋市が安否確認に力を入れるのは、大地震が起きた直後は、救急車が現場に到着するまで時間がかかることが想定されるためです。まず近隣住民の助け合いが求められています。
1995年の阪神・淡路大震災の推計データがあります。京都大学防災研究所長などを歴任した河田恵昭氏の推計で、救助が必要だった3万5000人のうち、公的な消防などによる救助は8000人。2万7000人は近隣住民が助け出しています。消防車は現場に行きたくとも建物倒壊もあって時間がかかっていました。名古屋市でも消火や救急の人と機材が足らなくなることは目に見えています。
防災は、「自助」「公助」「共助」の連携が不可欠と言われています。ただ、マンションでは元々、個人情報保護の意識が高いだけに、介助が必要な高齢者がいるのか、だれが入居したのかなど知らないことが増えています。
日頃から付き合いのある「ご近所」が声をかけあう「近助」が、防災の切り札のひとつになります。(2021年9月5日©aratamakimihide撮影)
「近助」につながる全市民による「まるごと防災訓練」は各地で始まっています。2015年1月には兵庫県伊丹市で「20万人市民いたみまるごと防災訓練」が実施されています。
愛知県西尾市は南海トラフ巨大地震の津波に備えて、今年11月5日の「津波防災の日」をはさんだ10日間に「17万人市民まるごと防災訓練」を計画しています。11月7日には愛知県と合同で大規模な訓練があります。市民は安否確認のため、安否札や黄色いタオルを玄関に掲げるほか、自主防災会は「向こう3軒両隣で声を掛け合おう」と呼びかけます。
「8時だよ!全員集合」の番組最高視聴率は50・5%。すごい数字です。安否確認は文字通り市民の「全員集合!」が理想です。
♪ババンババンバンバン 風邪ひくなよっ! 勉強しろよっ!
番組のエンディングになぞらえれば、
♪安否確認した? 近所と助け合ってる?
自助、公助、共助に加えて、「近助」への知恵を出し合いたいものです。
「あんぴよし! つながる近助と たすけあい‼」
(2021年9月13日)
先日、安否確認訓練の参加率を確認すると、この小学校区は83%でした。