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第2回あいち食農教育表彰~最優秀賞に摘果ミカンの利用とバイオネストを活用した蒲郡市立蒲郡西部小学校
第2回あいち食農教育表彰が2月10日、名古屋市の名鉄グランドホテルで開かれ、最優秀賞(愛知県教育委員会賞)に蒲郡市立蒲郡西部小学校が受賞しました。
表彰は愛知県教育委員会とJAグループ愛知が食育に関する連携協定を結んだ一環として実施しています。
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■もったいないを ほっとけない
蒲郡西部小の応募した内容は「もったいないを ほっとけない~摘果ミカンの利用とバイオネストの活用~」です。
受賞理由です。長年児童が受け継いできた学校の「みかんの木」に全校でかかわってきました。ミカン農家の指導を受けて育てるなか、摘果するミカンが多く、5年生児童は「もったいない」と思っていました。そこでセリーやジェラート、ドレッシングに加工する調理が始まりました。
ゼリーが固まらないなどの課題を克服して、6年生に食べてもらうと、好評でした。先輩後輩の交流を通じて成功体験の創出につながっていると審査講評にあります。
■バイオネスト
せん定した枝や落ち葉もムダにはしませんでした。4年生は次年度につなげるための土作りを始めました。太い枝で丸く土台を作り、そこに鳥の巣のように細い枝を組み合わせていきます。その中にミカンの木の落ち葉や周辺の草を入れて腐葉土づくりをしています。
学校のミカンの枝だけでは足らないので、ミカン農家の児童の父兄が軽トラックで切り取った枝を運んでくれました。6人で4基のバイオネストを作りました。受賞発表をした竹尾公孝教頭は説明の中で「ミカンの木がミカンのためになる」と話しています。
審査講評では「バイオネストの取り組みは、国が目指すみどりの食料システム戦略にもつながる」と評価します。
■子どもに食農「共育」を
表彰式の後、日本農業新聞の鈴木祐子論説委員長が記念講演し、あるエピソードを紹介してくれました。生物学を教えるご主人は、入学したばかりの高校1年生に必ず鶏の絵を書かせるそうです。その結果、昨年は196人中、2割の36人が3本足から6本足のニワトリもどきを描いたそうです。
すでに20年前、東京大学の学生でも鶏を正しく描けないというレポートがあったそうです。農地を見る機会がなく、加工食品しか食べない子どもたちが増えている今、この結果も「さもありなん」ということでしょう。
鈴木さんは親も地域も含めて食農「共育」が大事だと強調していました。
■日本の食を守りたい
鈴木さんの指摘です。2025年度政府予算案で防衛予算は27年度までの5年間で43兆円です。「産業のコメ」を扱う経産省は20兆円(2020年度)。
これ対して農林水産予算案は約2兆2706億円です。「令和の米騒動」で自国の食料供給が不安定なことを知った人が多かったはずです。生産者も消費者も、お互いさま、おかげさまの精神で主食のお米や農産品を育てていかないといけない時代です。
次回は食農教育表彰で優秀賞(JA愛知中央会賞)となった岡崎市立常磐南小学校と岡崎市立六ッ美中部小学校を順に紹介します。
(2025年2月13日)