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リアルタイム・キネマティック(RKT)基地局設置~JAあいち経済連が農機の自動操舵の精度向上へ

 JAあいち経済連は1月、トラクターやコンバイン、田植機の自動操舵装置の精度を向上させるリアルタイム・キネマティック(RKT)基地局の運用を始めました。愛知県内4か所に設置したことでスマート農業を目指す農家の要望に対応することができるようになります。
■メリット

RKT基地局の対象エリアは、愛知県の主要産地をカバーしている(JAあいち経済連提供)


 県域のJAグループとしては初の取り組みで、1月27日にJAグループ愛知記者会で発表しました。
 メリットのひとつは正確さ。トラクターなどの自動操舵装置の仕組みは、人工衛星から受信した電波を使って設定した経路に従ってほ場内を自動走行します。これまでの人工衛星のみでは誤差が30㌢あった(同経済連)といいます。RKT基地局で位置情報を補正することで、誤差を2~3㌢にできます。
 もう一つは、4基地局で県域をほぼカバーできるため、希望している農家のニーズに応えることができるようになったことです。
■2028年3月末まで無料

2028年3月まで無料としてスマート農業の普及を支える(JAあいち経済連)


 同経済連は27日、基地局はメーカーのFJDの自動操舵装置の購入者限定で位置情報補正サービスの利用料を2028年3月末まで無料とすると発表しています。
 FJDの自動操舵装置を購入していない生産者で基地局を利用する場合でも、1アカウント年間1万1000円(税込み)で提供します。
 同経済連農業資材課推進担当の服部智哉さんは「農機メーカーのものだと年額10万円ほど。通信キャリアのソフトバンクのアプリを使っている場合でも年4万円なので、サービスを受けやすい」と値段設定について話しています。
 服部さんによると、1月17日に基地局設置のリリースをしてから10件の申し込みがあるそうです。
■岡崎市で実演試乗会開催

実演試乗会のチラシ。


 JAグループ愛知は1月29日、愛知県岡崎市のJAあいち三河本店前で最新の農機に加えて、後付けできるFJDの自動操舵装置と安城市内に設置したRKT基地局の実演を行います。
 当日は県初公開となる乾田畝立て直播機や大豆の高速播種機、ドローンなど20種類以上の農機の実演があります。
 農業の生産性を上げ、コストを抑えることで、最近のコメ価格の高騰や野菜価格の高騰にも貢献できるのではと期待が高まります。
■記者の目「日本の割高農業の今後」
 自動操舵装置は既存の農機への後付けが可能です。販売しているFJDは、中国のメーカーです。ドローン市場が中国メーカーに席巻されているように、自動操舵装置もその波が来ているようです。
 FJD製の価格は100万円ほど。日本メーカー製だと200万から300万円するといいます。
 国消国産を目指す日本農業です。私は消費者としてコメはもちろん、野菜も国産を選んでいます。今後、省力化と生産性を高め、コメのトータル生産コストを下げたり、季節で大きく価格が変動しないような野菜を安定生産したりするためにも農業の課題解決が求められます。
 FJDとの価格差を埋めることは大変ですが、中部圏のものづくり技術と農業生産のノウハウを生かして、次々と農業スタートアップが生まれる土壌を耕す応援をしていきます。
(2025年1月28日)