最近信州酒蔵事情(2)~兄弟妹3人の競作や夫婦手作り、移住者も
信州の50の酒蔵が名古屋に一堂に会する初の企画「YOMOYAMA NAGANO」(よもやまながの)。長野県酒造組合主催の日本酒試飲会が7月27日、名古屋市中区金山のANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋で開かれました。
名古屋長野県人会に協賛いただく酒蔵を紹介した最近信州酒蔵事情。第2回目は個性的な作り手、杜氏を紹介します。
■兄弟妹の競演
「本老の松」(もとおいのまつ)で知られる東飯田酒造店(長野市篠ノ井)は、兄弟妹3人がそれぞれ担当酒を競作する酒蔵です。
兄で杜氏の飯田怜さんは、本老の松 純米酒「艶(つや)」を醸造しました。日本酒度-4。「綺麗な香りの芯のある日本酒」といいます。
弟の淳さんは、本老の松 山廃仕込み「恋(こい)」。日本酒度-23。「酸度を極限まで高めることで長野県R酵母らしさを出せるように醸しました」といい、一直線の想う恋を意識しています。
妹の加藤美由紀さんは、本老の松 純米吟醸「澄(すみ)」です。日本酒度-2。「ふわっと広がる甘い香り、飲み口はすっきり」とのこと。もろみにアニメソングを聴かせて醸したといいます。
慶応元年(1865年)創業の老舗ですが、2019年からの3人の「競演」を味わってみてください。
■夫婦のみで醸す
「岩清水」醸造元の井賀屋酒造場(中野市)は、夫婦だけで醸す酒造場。生産量はわずかながら、「酸」と「旨味」にこだわって。麹割合を多くするなど独自の仕込み配合で個性的な日本酒を手がけています。
日本酒と蕎麦の相性は良いですが、代表取締役の小古井宗一さんは「食事とのペアリングを意識してフレンチ、イタリアン、中華など幅広く楽しんでほしい」と言います。
名刺には「始まりが伝統になる一滴入魂の蔵」とありました。
■移住者を引き付けた酒造り
「志賀高原ビール」「山伏」シリーズの好評な玉村本店(山ノ内町)。日本酒は文化2年(1805年)の老舗。その「縁喜」を一人でアピールしていたのは、加藤香苗さんです。
無農薬で、最低限の有機肥料で栽培する酒米を使って醸造しています。ビールの原料のホップなども自家栽培。搾りかすを再び肥料として活用するなど環境への配慮をしているそうです。こうした酒造りに魅せられて、加藤さんは信州へ移住してきたといいます。
蔵ごとにそれぞれ特色がありますが、どこも新しい風が吹いているようです。
(2023年7月30日)
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