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セントレア利用促進キャンペーン共同記者会見~リニア2027年開業断念の日
愛知県知多半島沖にある中部国際空港。愛称・セントレアの利用拡大による国際線拡充を目指して、新たなキャンペーンが始まりました。
■キックオフ
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国土交通省中部運輸局、名古屋商工会議所、中部経済連合会、中部国際空港株式会社(セントレア)の4者は3月29日、名古屋市中区三の丸の名古屋合同庁舎第1号館会議室で共同記者会見を開き、セントレア利用促進キャンペーンの開始を宣言しました。
新規キャンペーンは「空を取り戻せ!今こそ使おうセントレア」。金子正志中部運輸局長は概要について説明しました。
セントレアは成田、羽田、関西、福岡空港に比べてインバウンドは少ないが、企業のビジネス出張を中心にしたアウトバウンドが多い空港だといいます。
この利点を内外のエアライン各社にアピールして、コロナ禍で減少した国際線を復活させていこうという狙いです。
中部経済連合会の水野明久会長は、セントレアの利用者数の増減というのは、中部のある意味、経済状況を診断する一つのものさしでもあるといいます。セントレアが活気を取り戻すように関係省庁、自治体、中部圏の企業、経済団体、そして中部国際空港会社が一致団結して取り組みを強化していくと表明しました。
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■課題は国際線の復活と増便
水野会長は、企業の立場からするとセントレアを使いたくても、便利な便がないので他の空港を使わざるを得ないという実情もあると指摘。「ある意味、★隠れた需要★を「見える化」して、航空各社が復便・増便に踏み切れるようにしたい」と言います。
■乗り継ぎなら世界104都市へ
中部国際空港の犬塚力社長は、弱点である直行便が少ないことへの対応策として、1回の乗り継ぎでいける海外都市が104都市あるとアピールしています。
例えばインドに出張する場合、ソウル、香港、ハノイ、シンガポール、バンコクなどを経由してフライトできます。乗り継ぎの場合は、セントレアで預けた荷物はそのまま乗り継ぎ便に乗せ替えられて最終目的地で受け取るだけ。乗り継ぎ時間の間にショッピングとか、レストランやラウンジで快適に過ごせるのも、旅の楽しみでもあります。
■ヘルシンキ便復活
5月末にはフィンエア(フィンランド)のヘルシンキ線が4年2ヶ月ぶりに復活します。これによってヨーロッパ各地にも乗り継ぎが便利になります。犬塚社長は「ヘルシンキ空港は、日本語の案内表示もあり、大変使いやすい空港。免税店やレストランも充実しており、楽しんでいただけるのではないか」といいます。
■物流の2024年問題と航空貨物
私は2005年2月のセントレア開港前夜から取材しているので、非常に思い入れがあります。もともと中部空港の発端は、三河湾海上の航空貨物専用空港の構想からでした。犬塚社長にセントレアの強みである貨物と2024年の物流問題を逆手にとってセントレアの貨物受け入れ需要が高まるのではないかと考えを聞きました。
犬塚社長によると、貨物専用便はコロナ前と比較して倍以上、便数が増えているそうです。DHLグループがセントレアを極東地区におけるハブ的な位置づけとしており、便数を増やしています。
「2024年の物流問題についって、我々もこれをきっかけに地元の製造業、あるいは小売業、農林水産物を含め、もっとセントレアを使っていただくような形をしっかりPRしていきたい」と答えています。
■リニア2027年断念について
会見当日はJR東海のリニア中央新幹線の開業時期「2027年以降」を断念するというニュースも入ってきました。地元経済界の考えを聞かれた水野中経連会長は「開業時期はずれても、東京圏、関西圏、中部圏を結ぶ新たな国土軸ができるということからすると、その重要さは落ちるわけではないので、引き続き日本中央回廊を軸とした交通ネットワークの一番の肝であるリニア開業に大いに期待している」といいます。
また、筆者の持論でもある長野県駅(飯田市)~岐阜県駅(中津川市)~名古屋駅間の先行開業を含め部分開業について、水野会長は「部分開業についてはJR東海としては今のところ品川~名古屋を結んでから大阪につなぐということで、部分開業をする考えはないと承知はしている。そういう意味で、とにかく品川~名古屋間の早期開業に全力を挙げていただきたい」と答えていました。
■陸海空のネットワーク
日本中央回廊の肝であるリニア中央新幹線を生かすのは、南北の交通軸です。さらにセントレアを結ぶことで世界とのネットワークが強固になります。
コロナ禍で定着したオンラインの活用のなか、やはりお互いが顔を合わせる関係が見直されています。避けて通れない人口減少社会。交通ネットワークをつなげていくことで、交流人口や関係人口を生かしていくことが重要だと改めて意識させてくれた記者会見でした。
(2024年3月29日)