アフマ大陸作者とゆくVRChat生き延びてみせると!:深夜0時におちます終会編
ジホジホ・タイムズ創刊号 697円(税込)
世界一周飛行日誌697日目。
私を見てと星が輝き、盃に注がれた最後の一杯が喉を通る。
線路を走る鉄の馬がその日の走りを止める頃――
もうひとつの世界で夜な夜な一瞬の生命の爆発を見せるその様はまるで、
宇宙創成のビッグバンのようであった。
今回は、毎晩VRChatの片隅でひっそりと開催されている、知る人ぞ知るイベント「深夜0時におちます終会」について、主催の新 arataさんにインタビューをさせてもらったので、その様子をお届けします!
インタビュー
記者:ジホジホ・タイムズの江戸川ポポ歩です。本日はよろしくお願いします。
新 arata:よろしくお願いします。
きっかけは、酒の席
記者:早速ですが、「深夜0時におちます終会」について教えてください。
新 arata:はい、この集会は「日付が変わる瞬間をみんなで一緒に迎えよう」という集会です。いわば、年越しのカウントダウンを毎日行っているような集会だと思ってもらえれば。
記者:シンプルで分かりやすいですね。そもそも始まったきっかけはなんだったのでしょうか。
新 arata:もともと私の頭の中に、いつか開催してみたい集会として「本初子午線集会」というものがありました。内容は今の「深夜0時におちます終会」とほとんど同じで、本初子午線を超える瞬間をみんなで迎えようというものでした。でも、こんな薄い内容の集会に果たして何人の人が来てくれるのか自信が持てず、お蔵入りになっていたのです。
記者:なるほど。そのお蔵入りのアイデアが日の目を見ることになったのはなぜですか?
新 arata:たまたま用事があって大阪に行った時のことです。せっかく大阪に来たので、VRCの大阪に住むフレンドに会おうということになり、2人のフレンドとあって、お酒を飲みました。
その酒の席で、フレンドが「自分もいつか集会をやってみたいんだけど、どれだけの人が来てくれるかわからなくて、開催できないんだ」というようなことを言いました。確かに集会を開くときは、「何人の人が来てくれるかな」、「楽しんでもらえるかな」と不安になります。初めての開催の時なんてなおさらです。私も彼らの気持ちが痛いほど良く分かりました。
記事:いくつもの集会を開いているアラタさんでも?
新 arata:毎回ドキドキですよ。それでなにか力になれたらと思ったんです。
そこで彼らに提案したんです。「この3人で何か集会をやってみないか」と。「何の集会をやるか」という話になったので、ずっと温めていた「本初子午線集会」をすごくシンプルに分かりやすくして、「VRC時報集会ってのはどうかな?」と言いました。
記事:時報集会ですか。
新 arata:はい。もう口にしたら止まらなくなりました。
集会の詳細はシンプルです。参加者はステージの前に集まり、カメラを構える。大きな時計がみんなの頭上にあり、時刻を教えてくれる。いよいよ日付が変わるタイミングで、ワールドに「時報」の音が流れ、「ぽっぽっぽっぽーーーん」、0時0分0秒のタイミングでみんなでシャッターを切り、わいわい騒ぐ。今日という一日を無事に過ごせたこと、明日という一日を無事に迎えられること、当たり前に思っていることが実は当たり前ではないということを世界一周で色んな国の色んな人の現実を目にして知りました。そんなありがたい日常に感謝して時報を迎える。いまでもずっとこの基本コンセプトは変わっていません。
記者:フレンドの二人の反応はいかがでしたか?
新 arata:ふたりとも笑ってましたね(笑)
バカにする笑いではなく、「なんだそれ(笑)」と純粋に楽しんでくれている笑いでした。二人の笑顔を見て、「いけるな」と思ったのを覚えています。
記者:ふたりとも賛同してくれたんですね。
新 arata:ありがたかったですね。しかも、フレンドのひとりは、のちにこの集会の核となる、とっても重要なアイデアを提供してくれました。
記者:それはなんですか?
新 arata:「0時になったらワールドが爆発する」です。
記者:どういうことでしょうか。
新 arata:そこから3人でアイデアを煮詰めていきました。0時になったらワールドが爆発して、ワールドごと消えてなくなり、ゲストは強制退場するしかなくなる、とかそんなアイデアをあーでもない、こーでもないと楽しく話しました。お酒も進みましたよ。
記者:いや、どういうことでしょうか。
新 arata:この一見、くだらない集会、無くてもいいような集会を3人で開催するのには意味があるんです。「こんな突飛で風が吹いたら吹き飛んでしまいそうな集会でも、人は集まるし、楽しんでもらえるんだ」ということを2人に見せて、背中を押したかったんです。おこがましい話ですが、私自身、人が集まるか不安でしたから、自分で自分の背中を押したいという気持ちもありました。ワールドやギミックは私が爆速で作るから、明日にでも開催しよう。そういう話でその日は終わりました。
記者:えーっと、こちらの音声って聞こえてますでしょうか?
そして迎えた初回
新 arata:結局、翌日開催には準備が間に合いませんでしたが、週末の開催になりました。ツイッターで宣伝したら、想像してたより結構好意的な反応が多くて、「おっ、これは思ってたより面白くなりそうだ」と思いました。いよいよ迎えた初回は本当にドキドキしました。人が来てくれるかな、楽しんでくれるかな、ワクワクと不安でいっぱいでした。
記者:初回を終えての感想は?
新 arata:すごい盛り上がりましたね。参加してくださった方々も、みんな得体のしれない集会に何が起こるかわからないからと若干警戒しつつの参加でしたが、何が起こるかわからないワクワクもあってお祭り騒ぎでした。
また、蓋をあけてみたら、「当たり前に明日を迎えられることに感謝しよう」というこの集会のコンセプトがたくさんの人に届いたんです。参加者の方が笑ってくれたり、気に入ってくれたり、楽しんでくれたり、本当にうれしかったですね。なかには「また明日も開催して!」という声もいただけて、とりあえず1週間続けてみるか!と決めました。
記者:みんなに受け入れられたポイントはどこだと思いますか?
新 arata:毎晩23:45に「時報ジホジホ公民館」に行けば、フレンドに会える。これが長続きした一番の理由なんじゃないですかね。帰ってこれる実家のような集会です。
記者:参加者の方からほかにお気に入りポイントとか聞いていますか?
新 arata:ほかにも主に以下のような感想をいただいています。
①集会自体が15分もないから、はじめましての人と仲良く話す時間がない。フレンドリクエストを送る暇もない。逆に、無理をしなくていいからすごい気楽。
②0時になったらワールドが爆発して消えるので、強制的に退去させられるから、だらだらと長居する必要がない。
③ワールドが消えて、みんなで落下するなんて、ほかにない集会で楽しい。
ジホジホの今後
記者:先日、一か月記念日を迎えたとのことで、おめでとうございます。
新 arata:ありがとうございます。主催のほかの二人や、フレンドの皆さんの協力もあって、おかげさまで一日も途切れることなく、1か月間やってこれました。集会が長続きせず、どちらかというと単発集会のほうが好きな私からしたら、これは事件です。まさかあのアラタ氏の集会が毎日開催で、30回を超えたってことですからね。
記者:例えると、どれくらいの事件ですかね?
新 arata:ナイアガラの滝が干からびて、このままじゃやばいからと自分の自宅の洗面所が新しいナイアガラの滝ということでユニセフが正式に発表した、くらいの事件です。
記者:それは大事件ですね。
記者:さて、この集会の未来についてお聞かせください。
新 arata:もともとの構想通り、主催のあとの二人にバトンタッチをしようと考えています。その二人に加えて、この集会をとても気にいって、毎日出席してくれる常連さんも何人か加えて、主催になってもらいました。私もいろいろと新しく挑戦したいことができて、早起きをしたい年頃なんです。できれば22時には寝たい。毎回0時まで起きるわけにはいかなくなりました。
ほかの主催の方のご協力があれば、私が毎回インスタンスを立てなくても、気づいた誰かが、集会を開いてくれます。いわば事業継承ですね。
毎日開く必要はありません。一か月連続開催の目標は達成したので、これからは不定期で「ほぼ毎晩、多分ね」という開催頻度でやっていけたらと思います。ほかの主催の方のプレッシャーにもなりたくないですしね。
記者:ところで集会の名前が途中で変わりましたよね。「VRC時報集会」から「深夜0時におちます終会」に。
新 arata:ええ、そうなんです。いまでは主催の一人になってくれましたネオレイさんが、「深夜0時にVRChatを落ちる」と「ワールドが消えて落下する」のふたつの「おちる」とかけて、命名してくれました。今回の集会は私の中で「みんなで作り上げる集会」にしたかったので、名前の変更の提案も「いいですね!変更しましょう!」と変更したり、「時報が鳴るスイッチも自動にしたら?」という提案も「そうしましょう!」と自動化しました。
どちらもやってよかったと思っています。クオリティが上がりましたから。
記者:みんなで作り上げる集会、ですか。
新 arata:自動化のコードを書いてくれたとむねこさん、会場のアセットを作ってくれた方々、毎晩欠かさず来てくれる常連の皆さん、主催になってくれた「落ち長」のみんな。感謝感謝でみんなまとめて大爆破です。
さいごに
記者:今後、開催してみたい集会はありますか? 言える範囲で構いません。
新 arata:「早朝4時におきます始会」ですね。
記者:最後に、VR、ひいてはメタバースの今後はどうなっていくと思いますか?
新 arata:間違いなく伸びていくでしょうね。私はとても可能性を感じています。特に、どれだけ爆発させても問題にならない点にとても可能性を感じています。
記者:本日はどうもありがとうございました。
※この対談はフィクションです。記者もアラタも一人二役でお送りいたしました。茶番にお付き合いいただきありがとうございました。次回はアフマ大陸の記事を今度こそ書きたい。