中年がPTになるということ
今、世の中はコロナ不況である。失業や業績不振で転職を考える方も多くいるだろう。職業の選択肢の一つに理学療法士(PT)を考えている方もいらっしゃるかもしれない。
40代で資格を取得した私からアドバイスさせていただくと、スタートする年齢は30代前半まで、40代は塗炭の苦しみを味わう恐れが多分にあり、なおかつ学生生活を途中でリタイアせざるを得ない状況に追い込まれるリスクまであることをご承知おき頂きたい。
自分自身の恨みも過分に含んで解説していく
1.周囲が年下
私が専門学校に入学したとき夜間理学療法学科の同級生の年齢構成は、10代〜20代後半がほとんどだった。私はあまり年下の人に対して気にしないたちなのだが、人によっては年長者に対し気を使う人もいて、そのことが気を使わせて申し訳ない気持ちになりギクシャクして、だんだん一人ぼっちになってしまった。
同様に教員や実習のバイザーも年下の人がいる可能性がある。これも同様。
年下のバイザーは大問題で手こずった。これは後述
2.肉体的、精神的、金銭的な負担が大きい
肉体的、精神的な負担は、ご想像の通りである。若くないことはデメリットである。
金銭的な負担も大きい、18:00位には授業が始まるのでそれまでしか働けない。しかも、実習中は1日拘束されるので、休職や退職しなければならない。奨学金の制度も学校にはあったが、オリックスのローンだった。
3.授業のデジタル化についていけない
私だけかもしれないが、昭和生まれの人間にとって最近の授業スタイルはカルチャーショックを受ける。何しろ机の上に飲み物を出しても怒られた世代だ。
まず、板書をする教員があまりいない。パワポが基本で同内容のプリントが手渡される。板書をしたとしても、皆んな写メで済ましている。ちなみに私は、4年間ガラケーで過ごした。天然記念物並みに珍しい人になってしまった。
パソコンは一通り使えることが前提で、提出物はワードで作成が決まりの物があった。
4.実習が辛い
誇張して表現するわけではないが、実習が例えようのないくらい辛い。時々、しっかり準備していないからそんな目に遭うんだなどという輩がいるが、その人は人格者のバイザーについただけのことであって、運が良かっただけだ。
本項は別な機会で述べたいが、睡眠時間が少ない、パワハラ、理不尽極まりない課題、など前近代的な教育システムが旧態依然として存続している。
5.卒後の未来もそれほど明るくない
考えてみて欲しい。何もスキルの無い新人の中年PTを病院や施設が積極的に採用するだろうか?若いPTなら年間1万人位いるこのご時世に。
※最後に…実習後に行方不明になってしまったクラスメイトの無念を晴らすためにも、中年がPTに挑戦するリスクを知って欲しい。切に願う。