M&Aは全体像を俯瞰することが大事
ある相談者(企業)から株式譲渡スキームにより対象会社をM&A(買収)するために必要な契約書(株式譲渡契約書)の作成について相談を受けた。
この相談を仲介した知人曰く、買い手企業と売り手企業は同じ業界同士であり、付き合いも長く、お互いの会社のことは知り尽くしている。売り手企業は後継者不足のため、買い手企業に事業を引き継いでほしく、株式売買価格も決まっており、揉めることもないとの認識である。
したがって、会社法上必要な契約書類があれば良いとのオーダーであるが本当にそうなのだろうか?
たとえば、
・株の変遷、株主名簿等の基礎資料、株主の確認は大丈夫なのか?
・定款、就業規則、取引基本契約書、各種議事録等の資料収集は?
・コンプライアンスの問題は?
知れたる間柄であっても、揉める要素は多分にある。
株式譲渡契約書の作成は単純ではない理由を以下に示す。
なお、株式譲渡契約書の基本構造は以下のとおりである。
また、株券発行会社・不発行会社等株式譲渡方法と対抗要件の検討、譲渡制限株式の会社承認手続き、クロージング手続きに必要な書類の準備等々、株式譲渡契約書の作成以外に法律に基づく必要な書類は少なくない。
諸々検討すると、相談者には、M&Aの全体像および流れを理解していただく必要があるということだろう。
M&Aの全体像を俯瞰できる「たたき台」の資料を作成して打合せに臨みたい。