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【新人ボカロP】自作曲『色彩』の解説

こんにちは!ボカロPのあらたなりです。
テストを兼ねて自分の楽曲解説記事を書いてみます!

#本当のルーキー祭り 参加曲『色彩』

『色彩』

歌詞

凍えた手
無機質な感触
握って進む
モノクロの夜

割れたまま透明なハートに
溶けない氷を抱えていても

二人で眺めて夜をまたいで
温めてあげるの
当てもなく過ごしましょ

記憶に弾かれても怖がっても
凍りついた痛みも
私の愛だけで綺麗に洗い流すの

冷たい手
私を確かめて
高鳴る鼓動
狂う秒針
色のない世界を抜け出して取り戻すの
生きてる証

忘れて今だけ声だけ聞いて
私を刻み込んで
濁った夢を溶かして
目を閉じて感じて
闇を抜けて戻った視界を私で満たして
色づく街二人で

許しなんていらないの
見えない手枷の鍵外して
まっさらな「あなた」で
お願いを口にして
自分を取り戻して

テーマ

「世界は私たちの脳と体が色づけている」
これに尽きますね!いわゆるカントのコペルニクス的転回っ!

小難しくて長い話なので飛ばし読みしちゃってOKです!
※目次の活用をおすすめします

リンゴが赤いんじゃなくて、私たち人間が目と脳を使って「赤いリンゴ」という像を作って認識しているんだよ、みたいな話です。

世界のありのままの姿を捉えられる人はどこにもいません。
私たちは自分の脳や五感が色づけた世界を生きていくことになります。

個々人の脳が作り出したある種の夢と言ってもいいかもしれませんね。

本作の「色彩」というタイトルはこの「私たちが色付けている」という部分から来ています。

ものすごーく疲れたとき、なんとなく周りがどんよりして見えたり、好きな食べ物の味が不鮮明になったり、趣味の楽しさがわからなくなったり……こういう状態のときに「世界が灰色に見える」と言ったりしますね。モノクロに見えてしまう。これは世界そのもののせいというより、それを作り出している脳と五感によるものかも。起きている時に見る悪い夢とも言えるかも。

じゃあ、そんなときにどうすればいいのか。

1つは、色の捉え方を変える。黒だという前提から色自体を変えようとしても「黒に何を混ぜても黒」となってしまう。そこで「そもそもこれって黒というほどではないよね」「黒も悪くない色だよね」など、心理学で言うリフレーミング的な視点を持ってきてみる。

最終的にどんな解釈にたどり着くかはわからないけど、当てもなく考えてみる。気の置けない相手と2人で一晩中話すような感じで捉え直していく。そうすると、もしかしたら嫌な記憶に刺激されたり、何か自分が怖がっていたことに思い当たるかもしれない。そうした刺激は、それまでの灰色一辺倒の世界になかったものかも。嫌な色も1つの色。これまでの色彩感覚から抜け出した第一歩なのかもしれない。

もう1つは、視界をリセットしてみる。目を閉じて、何も見ない。何も解釈しない。世界が見えない代わりに色も見えない。禅やマインドフルネスに近いですね。その他五感についても同じく、ただ存在していることを知覚する。そうすると、色付けるという行為が限りなく薄まっていく。

そうしてクリアになった視界でもう一度周りを見渡してみると、きっと違った見え方になっているはず。そのうち「〇〇がほしいな」と新しい色を求めて動きたくなるかもしれない。そうした心の雪解けのようなものが今回のテーマですね!曲が冬っぽいのもこの辺りのテーマの現れ。

なお、もし別な意味に聴こえた場合、それは皆さんの脳と五感がそれを作り出したので……

ぜんぶ君のせいっ!(CV.宮舞モカ)(0:41)

『君が悪趣味でよかった』より引用

※実際は、テーマがわからなくても楽しめる歌詞にしようとしたらこうなりました。私がやりました。

この楽曲でやりたかったこと

大人な雰囲気のバラード

今回はテンションとオンコード、フェルトピアノの質感やオルガンで演出。トイピアノをアウトロに使って、希望も見えるⅠ△9で終えました。

宮舞モカのファルセットを活かす

宮舞モカというとロックで張り上げる歌わせ方をされる方が多いと思います。もちろんすごくかっこよくていいんですが、個人的にはソフトな声もかなり好き。そこで、今回は宮舞モカのMellowを中心にして調声しました。

※なお、宮舞モカの調声の際、なぜか今回デフォルトの状態から謎のノイズが発生していました……「あい」など「い」の音に下降するときに稀に起きたんですが、原因は不明……マスタートラック含め一切エフェクトを使っていない状態で起きていたので、エフェクトによるものではなさそう。DAW上ではAIリテイクするとノイズが消えるんですが、書き出すとまたノイズ……Xで見ると、同じ悩みは「SynVだとMIX時にノイズが出る」など数人仰ってましたが、かなり少数……PCのスペックは足りているはずですが、何か私の環境の問題かもしれません。かなり時間をかけましたが、今回はエフェクトをかなり控え、ノイズが目立たないようにしてお茶を濁しました。

挑戦したこと

スローテンポ

今まで作ったものはアップテンポな曲か、タイム感が速いものが多かったんですよね。普段聞く曲もだいたいbpm100を割らないので、作る時になって普段聞かない曲をあれこれ聴きました。「こんなに音数が少なくても成り立つんだ」などいろんな発見がありましたね。

言葉数を減らす・白玉を増やす

言葉数が多い曲、大好きなんですよね……とにかく詰め込みたい!

ただ、これ「たくさん音を詰め込んでないと不安」とか「余白があると曲がスカスカな気がする」とか、ネガティブな理由からやってる節もありました。余白を作るのに抵抗がなくなるように、今作ではなるべく間をとってみました。

一般的な曲と比べると今回も言葉数は多めですが、これまでよりは減っているはず。特にサビはかなり減らしました。
白玉(二分音符以上の長い音符)もちょこちょこ入れてますね。

バラード

バラードってオシャレでなんとなく抵抗があって作ってなかったんですよね。試しに作ってみました。

ストリングス

苦手意識があって使っていませんでした。
ひとまずソロで使うところから始めました。

ピアノソロ

リリカピアノ以外では初。bpm80台で7小節分もある。基本に忠実なはず……オクターブ奏法などもいれつつ素直に作りました。

がっつりスウィング

単なるスウィングではなく、「タッッッッカ」みたいにしっかり跳ねるスウィング。アップテンポな曲を作ってると、スウィングするときとしないときの差がここまで極端にはならないんですよね。せっかくスローテンポな曲なので試してみました。

単純なドミナントを使わない

極力ただのドミナントを避けました。すべてはオシャレさのため。具体的には♭9を足すか、オンコード(Ⅳ/Ⅴ)で代理してます。

オルタードテンション(♭9)の活用

使ったことがなかったのでやってみました。♭9、響きに甘さがあっていいですね……この曲のイメージはだいたいここから来てます。

音域制限

一般的な女声の声域である「G3~E5」に絞りました。

これはあくまで自分のスタンスなんですが、人が歌える歌もボカロ特有の高音曲も作れるようになった上で、「今回はこっちにしようかな」と選べる方がいい気がしています。

もちろんボカロらしい曲だけ作るのもありなんですが、人の狭い声域の範囲内でもいい曲を書けるようになったら、ボカロの広い声域で書く時にますます自由に作れそうな気がするんですよね。

その他工夫したこと

音のレイヤー

実はソロと効果音的な使い方以外のピアノはレイヤーしています。今回使用したフェルトピアノは残響感があって好きですが、立ち上がりが遅め。アタック感があるピアノを若干重ねています。

課題

ベースの不安定さ

オンコードを使い慣れてないのが原因。

楽器編成

そろそろ楽器数を増やしたい。音の住み分けと合わせて課題になりそう。

エフェクト類の活用

もう少し装飾に凝ってもいいかもしれない。

ノイズ問題

宮舞モカの声が本当にいいので、ノイズの出ないやり方を探したい……次にノイズが出た時は、スタンドアローン版を試してみるのもいいかも。

製作速度

いつもの。

終わりに

なんか長文になってた…テスト投稿なので短めに書くつもりだったんですが…
お読みいただきありがとうございました!
コメントや感想をいただけるととっても嬉しいです。
「こうした方がいいよ」などアドバイスがあればぜひお願いします!

※勢いで書いたので、後に修正する可能性があります。
※気まぐれに追記するかもしれません。

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