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「桃の園」1話を読む その②

前回、「では「桃の園」とは何を描く漫画なのか?を考えた結果で個人的にはある結論を出して混乱は収まりました。」の混乱が収まった理由を書きます。
前回はこちら。

これはTogetterに書いて前回は載せなかった書き込みですが、


この漫画最初は桃の園学園で5人の同士を集めて花岡さくらがレッドになる話だと思ったけど多分違う。おそらく、桃の園学園で5人の同士を集めて花岡さくらがピンクになる話 なんじゃないだろうか。だとするとこの一話で描かれて いた事がだいたい理解出来るようになる
シエルはフランス語で空。なのでブルー担当は決まり

本編を読まれていない方用に簡単な説明と上記で足りていない補足すると、まず1話で主人公花岡さくらは「5色のヒーローチームのレッドに憧れて、女性はピンクにしかなれない『ゴクレンジャー』のピンク候補生クラスの中でレッドを超えるピンクを目指す」という物語の動機を語ります。なので第一の印象としては、「ゴクレンジャーピンク養成学校『桃の園』」で同じくピンク候補生であるクラスメイト達と切磋琢磨してゴクレンジャーピンクを目指す物語」のようにスタートします。一種のスポ根ものです。

しかし幼い頃怪人に襲われたピンチをゴクレンジャーレッドに助けてもらったさくらはピンクではなくレッドに憧れて育ちました。なので「『レッド』を超える『ピンク』に私はなります」と宣言。それはピンク養成学校桃の園的にはタブーレベルの発言(周囲からは暴言)でした。
つまりこの漫画「桃の園」世界では「努力しても才能があっても女性はレッドにはなれず、サポート要員のピンクにのみなれる」というジェンダー問題の側面を大きく主張しはじめます。

(キービジュアル的にも使われる「レッドを超えるピンク」発言。)

「サポートメンバーであるピンク(女性)はアタッカー(男)であるレッドにはなれない」作品世界で主人公さくらはピンクではなくレッドに憧れていてそれを目指すジェンダーテーマを打ち出します。
そしてここがポイントなのですが、「東映のスーパー戦隊シリーズで女性レッドは存在しません(一部の例外を除く)」。
その除かれた(一部の例外)ですが「侍戦隊シンケンジャー」(2009 主演 松坂桃李)がその一部の例外に当たるのは事実ですが、作品を通して主演は常に松坂桃李である事も疑いようのない事実です。
なので歴史的に「東映のスーパー戦隊シリーズで女性レッドは存在しません」と言うのは「桃の園」の「サポートメンバーであるピンク(女性)はアタッカー(男)であるレッドにはなれない」と微妙にシンクロしています。この"微妙にシンクロ"が曲者で「サポートメンバーのピンク、アタッカーのレッド」という能力別役割は逆に大変戦隊的ではありません。戦隊ヒーローは常に女性であっても全員アタッカーです。そこへ更に本作「桃の園」はスーパー戦隊ヒーローを描こうとする漫画でもありません。

スポ根漫画でありジェンダー漫画であり更に戦隊(パロディ)漫画ではなくヒーロー漫画です。

この「微妙にシンクロ」「戦隊的でない」「桃の園はヒーロー漫画でスーパー戦隊漫画では無い」というのが大変僕には読んでいてキモチ悪かったのです。

しかし本作は前回書いた通り「設定さん 漫画の原案芸人が考えておきます!」という大喜利企画からのスタートです。繰り返しになりますがその大喜利のお題が、
お題「世界で唯一の特殊な学校。どんな生徒を育てるのが目的?」で使用した漫画の設定、

ヒーローものの
女性枠ピンクの座を争って
ピンクの座を勝ち取る「桃の園」

阿諏訪泰義

でした。なので「ヒーローもの」であれば必ずしも戦隊ヒーローである必要は大喜利のお題的にはありません。一方で「女性枠ピンク」は回答には必須です。そういった諸条件をクリアーしつつ大賞に選ばれたのが大賞版「桃の園」(読み切り作品)です。

大賞版「桃の園」

つまり本作はそもそも大喜利のお題と回答でしたが、連載にあたりそのあたりのチューニングがなされていない(ように見える)為に連載版「桃の園」になって「炎上」してしまいます。

漫画家が描きたいのは戦隊ヒーローでは無いというのは大喜利への回答の時点で既にあったのです。例えば「戦隊ヒーロー漫画なのにマスクをしてないのは作者の解像度が足りてない!」とする意見は読み切り回答に於いては当たりません。何故なら「桃の園」は戦隊ヒーロー漫画ではなくヒーロー漫画であり、「女性枠ピンク」は単なる大喜利のお題でしかないからです。マスクがないから美少女の顔を描けるというのは実はそこは大喜利回答のトンチとしてはむしろ優秀だったりする訳です。

しかし読み切り作品はお題をきっちり消化しないとレギュレーション違反でしたが、連載に辺り「女性枠ピンク」の設定は連載用チューニングとしてオミットするでも良かった筈です。連載作品と大喜利は本来無関係です。
では一体元々戦隊ヒーローを描く気が無いのに「女性枠ピンク」を編集側と漫画家が残した理由はなんでしょうか?
それが分からず気持ち悪かったのですが、個人的に折り合いが付く答えを見つけたので「桃の園はこういう漫画なのでああいう1話になった」を書いて気持ちの悪さを供養したいと思います。
そこで再度、

この漫画最初は 桃の園学園で5人の同士を集めて花岡さくらがレッドになる話 だと思ったけど多分違う。おそらく、桃の園学園で5人の同士を集めて花岡さくらがピンクになる話なんじゃないだろうか。だとするとこの一話で描かれていた事がだいたい理解出来るようになる
シエルはフランス語で空。なのでブルー担当は決まり

をまとめると「花岡さくらはゴクレンジャーピンクを目指すように見えて本当はゴクレンジャーレッドを目指すように見えて実は5人の『桃の園』のクラスメイトと共に新チーム「桃園レンジャー(仮)の桃園ピンクを目指す漫画」ではないかと予想します。

以下その根拠です。
「学園で5人の同士を集めて花岡さくらがピンクになる話としての「桃の園」1話」

・ゴクレンジャーピンクはAクラス怪人を一撃で倒せる戦闘力がある(がその程度では本番では足りずレッドには及ばない)
・花岡さくらはピンク候補生随一の攻撃力(パンチ)を持つがそのパンチをもってしても訓練でも足りない。彼女だけ特別な才能、腕力がスーパーに強い訳ではない
・結局さくらは「相手の弱点を見抜く」という「サポート能力」で成績を残す
・ゴクレンジャーピンクに助けられたさくらはレッドではなくピンクの才能を徐々に自覚していく
・次回以降ピンク花岡、ブルーシエルに続くイエロー女、グリーン女、そしてレッド女が出て来て5人組が出来る
・カラーページの妄想花岡レッドはメッシュが赤いがキービジュアルの花岡ピンクはメッシュがピンク
・「怪人は生きていれば回収する」のは怪人が操られている(善性宇宙人とか元は人間とか)の可能性がある
・ひいてはそれは女性しかピンクになれないゴクレンジャーピンクのサポート能力とも繋がる可能性
・ナイスバディのシエルの方がゴクレンジャーピンクに相応しいと見せかけてちんちくりんのさくらがピンクになるギャップを狙っている
・「桃園レンジャー(仮)」の桃園レッドは現ゴクレンジャーピンクがスライドする

というのが現時点での「僕が考えた最強の「桃の園」」(妄想)です。
勿論こんな素人妄想てはなく実際の漫画「桃の園」はもっと面白い漫画だと思います。何故ならこの妄想では「戦隊ヒーローに対するリスペクトの無さ」は説明がつきません。現時点での個人的な結論として「何故こういう作品、1話になったか?」には(正解かどうかはともかく)答えが出ましたがそれはやはり本作には多くの読者と同様に「炎上する理由がある」事の否定にはなりませんでした。
こんな素人マニアの妄想をぶっちぎる面白い第2話、漫画を期待します。

ですが、「桃の園」1話で「何が描かれていたか」と「「桃の園」とはどういう意図の漫画なのか」は僕の中では大体説明が付いたので気持ち悪さはなくなりました。
故に供養として記録を残しておきます。

つるかめつるかめ。


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