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貧乏学生が青春18きっぷで初めて一人旅をした話
僕の初めての一人旅は、大学2年生の夏。
バイトと飲み会ばかりの毎日に嫌気がさして、少しでも自分を変えたいと思っていた当時。たまたま好きな映画の監督の作品展が静岡で開催されていることを知り、これだと直感的に思った。
貧乏大学生の僕はチケットショップで2日分の青春18きっぷを6,000円で買って、兵庫の田舎から鈍行で向かうことにした。乗り換えが5回ある片道9時間の短いようで長い旅。
初めての一人旅は、何もかもが刺激的だった。念入りにルートを調べて準備をしていたときも、始発に乗るためまだ薄暗いなか最寄り駅まで歩いたときも、乗る電車を間違えてなにもない駅で1時間ぼーっと過ごしたときさえも、楽しくて楽しくて仕方がなかった。
ゴールまであともう少しというとき、ふと車窓に目をやると駿河湾が美しく輝いていて、一瞬にして心を奪われた。あの海の青さと胸の高鳴りは今でも鮮明に覚えている。
「旅をしている」と初めて全身で感じた瞬間だった。
ハプニングになんとか対応したり、当初のルートを変更して気になった駅で降りてみたり、そんな小さな行動の積み重ねが、自分を大きくさせているような気がしたあの夏の日。
一人旅はなにもかも自分の意志で決めることができる。その自由さがたまらなくて、ここから僕は旅の魅力にすっかり取り憑かれたんだ。
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