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専業でゆっくり動画の外注を一年やってみた

楽に金を稼ぎたい!
真夜中に掛かってくる電話、判断を下さない上司に振り回され、後ろ倒しの納期に追いかけ回され、おまけに毎月80時間以上の残業

心が軽くボロった私は、2023年の初頭に退職を決意して、ゆっくり動画の外注を始めました。

ゆっくり動画の外注とは具体的に何をするのか、自分の経験から書いていきます。


1.ゆっくり動画の制作工程

請負先はアウトソーシング最大手のクラウドワークス。ランサーズもやってみましたが、UIの使いやすさからクラウドワークス一本で行っていました。

ゆっくり動画を作る際の主な工程は、このような感じ
・チャンネルの企画や動画の立案
・サムネ制作
・台本制作
・画像集め
・動画編集

この一つ一つが、クラウドワークスやランサーズなどで発注されています。

2.工程別の報酬

主に請け負っていたのは、台本制作です。
理由は最も時間単価が良いから。というより、他の案件が鼻で笑いすぎて鼻血が出るくらいひどい価格設定にされすぎ。

具体的にどれくらいかと言うと、

・チャンネルの企画や動画の立案
動画投稿一本当たり ¥1000〜
+チャンネル収益の20〜50%

・サムネ制作
1枚当たり 500円

・台本制作
1文字当たり 0.1〜1.5円

・画像集め
20〜50枚当たり 1000円

・動画編集
15〜18分の動画1本当たり 2000〜8000円

こんな感じ。もしかしたら、思いのほか悪くないかも、と思われる方もいるかもしれません。

ただ、これらを一通り請け負った経験から言うと、時給と作業負担で考えると台本制作以外の案件は、まぁひどい。

1.チャンネルの企画や動画の立案

・時給 : チャンネル収益の20〜50%
※基本的に歩合制なので換算は難しいが、後述の理由から割に合わない。
(+新規動画を1本投稿につき、1000円~)

・作業と報酬の釣り合い ★★☆☆☆
:クラウドワークスやランサーズで募集している用件は、ほとんどが新規の立ち上げであることが多い。
つまり、YouTubeの収益化の条件である登録者1000人と再生時間4000時間をクリアしないと、動画投稿の1000円ちょっとしか入ってこない。
(クライアントによっては、その投稿料すら無しの場合もある)

※加えて、台本製作者や動画編集者に委託するディレクションの作業も、この企画・立案に内包している場合が多い。
その際に必要な委託料はこちらが建て替えて、後でクライアントがこちらに振り込む方式だった。

プラスどころかマイナスからのスタートな上に、クライアントに逃げられたら委託料が損失する不安で、まぁストレスが半端ない。

クラウドワークスなどで契約すれば、払い逃げを防げるのでは?と思われるかもしれませんが、アウトソーシング系の報酬システムはあくまで一つの案件を達成して、報酬を支払うシステム。

企画・立案は実質、チャンネルの運営業務なので、アウトソーシングの報酬システムで対応するのは難しいです。
よって、クライアント側から個別で契約を結ぶように指定されることが常だと思った方がいいです。
(それが輪をかけてストレスになるんですよね)

それに、新規の立ち上げからやるなら自分一人でチャンネル作るわ!というツッコミもしておきたい。

歩合給は、チャンネル収益の20〜50%と書いたが、私のクライアント先が出した昇給の条件は、

初期 20%
一人でチャンネルの運営ができる +5%
チャンネルの収益/月50万達成 +10%
チャンネルの収益/月100万達成 +10%
チャンネルを1件売却する +5%

とまぁ、こんな感じ。
平たく言えば、結果をごりごり出さないと8割はクライアントに持っていかれる。

仮に月50万を稼げるようになるなら、そもそも一人で始めて、全部自分の取り分にしますわ。

これ以上書くと愚痴になってしまうので、仕事の詳細な内容はまた別の記事で書きます。とにかく、企画・立案は貰えるお金に対して、リスクと作業量が全く釣り合っていないです。

2.サムネ制作

・時給 : 1000円(理論値的には)

・作業と報酬の釣り合い ★★☆☆☆
参考となるサムネを渡されて、そのレイアウトをパクり、指定されたタイトルや文言を入れるだけ。

作業自体はかなり楽な部類です。ただ時給に理論値と記載したのは、サムネ制作を単体で発注しているクライアントが少ないから。

ほとんどの場合、企画・立案に含まれる作業なので、まとまった金額を稼ぐのは難しいです。

お小遣い稼ぎにしても、基本的にこの手の外注にはマニュアルがあって、それを読み込むところから始まります。

最初の一歩目がわりと重めなので、それだったらもっと単価の良い案件を受けるか、単発バイトをした方が良いというのが、個人的な所感です。

3.台本制作

・時給 : 500〜3000円

・作業と報酬の釣り合い ★★★★☆

台本の雰囲気を掴むための参考動画と、
ゆっくり動画のテンプレートを守るためのマニュアルを渡されて、それに沿って台本を作ります。

現状、ほとんどのゆっくり動画は時事ネタや歴史、政治系が占めています。
その為、上記と共にネット記事のURLも共有され、それらの記事をゆっくり動画としてリライトする、というのが台本制作のスタンダードですね。

報酬とリスク、作業量の釣り合いから見れば、台本制作が一番良いと断言できます。

企画・立案のように元手がいらず、募集されている案件の母数も、後述の動画編集と並んでとても多いため、まとまったお金を稼げます。

また、時給に関しても10程度の案件をこなせば効率化するための感覚が掴めました。

1000〜1500文字を書くのに1時間。
文字単価は1文字1.0〜1.2円が相場。
クラウドワークスの手数料を引いて0.8〜1.0円として、
時給は1000〜1500円。

クライアントによっては3000円まで上げることができました。

4.画像集め

・時給 : 〜500円程度

・作業と報酬の釣り合い ★★☆☆☆
完成された台本、あるいは台本用のプロットをもとにしてネットから画像を探す作業です。

作業自体は楽、かと思いきや、結構考えることが多い。
当たり前の話ではありますが、画像の著作関係には注意しないといけないです。
Wikipediaなどのオープンソース、かつ動画の雰囲気にあった画像…といった感じで探すのに手間取ります。

私の場合は20枚で40分、30枚で1時間は掛かっていました。
(クライアント側はやり直しを求めることが少ないタイプで、単純に画像を集める時間)

対して、画像集め単体の報酬は100枚で
1000〜2000円が多く、単純計算だと時給300円ちょっと。

また、画像集めだけの案件も少なく、こちらもサムネ作成同様にまとまった金額を稼ぐのは難しいです。

5.動画編集

・時給 : 250〜1000円

・作業と報酬の釣り合い ★★★☆☆
完成された台本をゆっくりムービーメーカー4
(YMM4)に取り込んで、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙の立ち絵、集めた画像にアニメーションをつける作業です。

時給で考えると、動画編集も割りは良くないです。

1分の動画編集に1時間弱は掛かります。
基本的に案件として上がる動画は、15〜18分が多く、慣れれば20時間程度。
初めのうちは、30時間は見越した方がいいでしょう。
対して、単価は5000〜7000円前後
単純計算で、時給300〜500円といったところ。
加えて、クライアントが画像のアニメーションにこだわりがあったりすると、どんどん必要な時間が増えていきます。

時給は度外視して動画編集の練習がてらにお金を稼ぐ、というのであれば話は別ですが、副業としてはおすすめしません。

案件の母数はとても多いため、中には1つの動画に10000〜15000円を出しているところもあります。

ただそういった高単価の案件は求められる基準も高く=編集作業の負担も重くなる。
いざ提出しても、やり直しがあることを考えると、時給の面では低単価とそう変わらないでしょう。

編集なら自信があると思う方もいらっしゃるかもしれませんが、高単価案件を採算が取れるレベルでこなせるなら、自分でチャンネルを立ち上げた方が絶対に良いです。

3.クライアントはどんな人?

金銭面での信頼性

基本的にクラウドワークスやランサーズでのやり取りはチャットで済ませることが多いです。

中には、zoomなどで面接っぽいことをするクライアントもいますが、大概は音声のみですね。
顔を相手に見せたくはないですが、かといって顔の分からない相手とお金のやり取りをするのは不安になりますよね。

結論から言えば、お金のトラブルになったクライアントはいませんでした。
私は30以上のクライアントと契約を結びましたが、支払いの拒否や払い逃げはありませんでした。

ただ、一度だけ払い逃げされそうになったことはあります。
クライアントの多くは私たちと同じで、委託を受けた人であることが多いです。

構図としては大元のオーナーがいて、そのオーナーがチャンネル運営のディレクター(企画・立案)をクラウドワークスなどで委託する、そのディレクターが台本製作や動画編集をさらに委託する、といった感じです。

ある日、私を担当していたディレクターと突然連絡がつかなくなりました。
業務自体を放棄して蒸発してしまったそうです。

その時は別のディレクターが代行で契約の支払いを行なったため、問題なくお金を頂くことはできました。

ゆっくり動画に関心のある方ならご存知かと思いますが、今のゆっくり動画の運営元はほとんどが企業です。

だから大丈夫、とは言い切れるわけではありませんが、クライアント(ディレクター)がドロンしても、案件の不払い問題に即繋がるというわけではないです。

クライアントの見分け方

ただ、契約する段階で相手が法人化しているのかを知るのは中々難しいです。少しでも怪しいクライアントとは契約しないといった心構えは必要ですね。

私見ではありますが、こういったタイプのクライアントは怪しい、というのを箇条書きしておきます。

1.クラウドワークスやランサーズ以外でお金のやり取りを要求してくる。

2.応募要項の必須条件や求める人材などに、過剰な要求をしている。

3.プロフィールにある作業達成率が80%を切っている。

プロフィールや案件の応募文に書かれていることは、その人の裏返しだな、というのが経験上の結論です。

やたら時間厳守、連絡の返信をすぐにしろと言っている人ほど、時間や連絡を自分の都合で行ってくる。
クオリティのこだわりを募集文につらつらと書いている人ほど、やり直しをする際の指示が曖昧で、言っていることを平気でひっくり返してきます。

また、プロフィールでは作業達成率(契約済みの総案件数から達成済みの案件数を割ったもの)が80%を切っているクライアントは、案件の途中で連絡がつかなくなる危険が高いです。

クラウドワークスの場合、進行中の案件も含まれるため、その分のパーセンテージが低くなる仕様です。
ただそれも現在進行形の案件を大量に抱えている=キャパオーバーで不通になるか、とりあえず契約だけして後で切ろう、という可能性があります。

逆に、クライアント側から見て、委託先が逃げた場合も不達成となり、作業達成率が低くなるので、100%じゃないからダメということは無いです。
それでも、80%を切っているクライアントは疑っていましたね。

案件を吟味して、いざ応募した後は大体テスト契約として業務を委託されることがほとんどです。
テスト契約は本来の報酬の50%程度で業務を一通りやることが多いですね。
※例えば、台本制作6000文字で6000円なら、6000文字3000円という感じ
※中には報酬の減額に合わせて、業務量も減らすクライアントもいます。

ここで注目していたのは、クライアントの返信の速さとチャットの文面でしたね。
クライアントの連絡の丁寧さは、テスト契約がピークだと思ってください。

なので、テスト期間中に返信が日を越したりするようであれば、いざ本契約を結んだ後は、さらに遅くなります。

また、チャットの文面からもクライアントのタイプを見分けることができます。
例えば、誤字脱字を頻繁にする場合は、途中で連絡がつかなくなる、契約をよくわからない理由で一方的に切ってきます。
相手方が業務過多でパンクしているのか、こちらをぞんざいに扱っているのか理由は様々ですが、要はテキトーな返信でもOKと判断されていることは確かですので、長くても2ヶ月も保たないクライアントばかりでした。

また、「!」が語尾にないクライアントも長続きしませんでしたね。
別に「!」の有無がどうとか細かすぎない?と思われる方もいるでしょう。
はい、自分もそう思います。
ただ、実際に文面でやり取りしていると「!」があるのとないのとでは、
文面の印象が変わります。
相手は顔すら分からないことがほとんですから、尚更です。
裏を返せば、そこに気配りしてくれる方とそうでない方とでは、契約期間が長くなるほど、差が出てきます。

業務はどの工程においてもマニュアルがあることが多いですが、それだけではカバーできないところが出てきます。
その質問を1つするにしても、返信が来て解決するまで1時間以内に終わるのか、5~6時間掛かって業務が後ろ倒しになるのかといった具合。

経験的には、「!」をつけてくれる方は即返信~1時間以内、返信が遅くなる場合もその旨を伝えてくれる方が多かったです。
一方、「!」がない方も基本的には1時間以内に返信が来る場合は多いです。ただある時に返信が来なくなり、逃げられたか!?なんてやきもきさせられることもありました。
そして返信が来たかと思えば、来たのは2日後。
理由を聞けば、休みだったから。一言いえば済むことを言わない。休みに返信したくないなら、委託するタイミングを測ってよ…と思いたくなる一幕が多かったです。

あと単純に、心象が悪いです。私の場合は本業でやっていましたが、
基本的にゆっくり動画の外注は副業や小遣い稼ぎが多いと思います。
そんなので、いらないストレスを溜めたくなんてないですよね。

「!」を押すことすら惜しむ、その手間に必要性を感じないような人は
そもそもこちらを同じ人として思っているのかすら、怪しい人ばかりです。
余計なストレスはためない以上のことはないと思います。

まとめ

結局、この手の仕事も最後に物を言うのは人柄です。
もちろんそれは、こちらも同じです。
始めたばかりの人にありがちなのは、自分は経験がないからと、明らかに
相場を無視した低報酬に応募します。
大体そういう案件の紹介文には、「教育します!」とか、「経験を積ませる機会を提供します!」みたいなことが書かれているので、つい応募したくなる気持ちはとてもよく分かります。

ですが、200以上の案件をこなして分かったのは、求められる業務内容は本当に人それぞれです。
この人はOKだったのに、あの人からはやり直しさせられた、よくあります。
逆、え?この程度でこんなに貰えるの?ということもあります。
ですので、不安な気持ちを抑えてでも相場通りか、それ以上の報酬を提示している案件に、当たって砕けろの気持ちで応募しないとあまり意味がなかったな、というのが正直な気持ちです。

この千差万別のクライアントに定量性を求めるのであれば、
やはり手っ取り早いのは、チャットの文面に「!」を多用することですね。
それと、相手が求める情報を優先的に書くことです。
個人情報は絶対教えてはいけません。
クライアントの多くは、これまでの経験、好きなゆっくり動画チャンネルなどを聞いてくることが多いです。
ですが、応募してくる人の中にはそういった情報を差し置いて、自分を知ってもらおうと自己紹介から始める人が多くて辟易すると、仲良くなったクライアントから聞いたことがあります。

自分を知ってもらうのは大切ですが、重要なのはどの部分を知ってもらうかです。
ここで重要なのは、「私はあなたを尊重しています」ということを知ってもらうことだと私は考えます。
それを伝えるためにはやはり、相手が知りたがっている、気にしていることを優先して伝え、コミュニケーションを円滑にすること。
これが一番だと思いました。

最後はなんかクサイことを言った感じになりましたが、人と人との営みはどこも同じなんだな、ということですよね。
でもコミュニケーションもまともにしてくれなかった前の会社より、よっぽどマシだと思えたので、個人的にはとても楽しかったです。


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