先読み▶︎青山美智子『人魚が逃げた』 11月12日発売予定
穏やかなストーリーで心を緩めてくれる青山美智子さんの新刊が、11月12日頃発売予定!
じわじわと幸せが湧いてくるこの物語を、ひと足お先に堪能させていただきました。
【ストーリー】
舞台は銀座。王子様の格好をし自らも「王子」と名乗る青年が、テレビの情報番組の街頭インタビューに映ります。
彼は生中継中に不思議なことを言い出しました。『僕の人魚が、いなくなってしまって…逃げたんだ。この場所に』
SNSでは「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入り。
人魚ってナニ? どこかに本当にいるの?
王子様の格好をした男性は誰?
たくさんの謎を抱えたまま、連作短編が広がっていくのです!
【感想】
ひとときの期間に1つの側面から見るだけならば、物語を意味づけラベリングすることは簡単です。
しかしその「意味」も、期間を広げて異なる角度とタイミングで見た時に、全く別のものになります。
例えば雨の中、傘を差し出してくれた見知らぬ方は善意の提供者ですが、傘を差し出した本人から見たら結婚詐欺のカモにするためのきっかけづくりだったのかもしれません。
そして悪事を意図して近づいた彼が、のちに彼女への本当の愛に目覚めて利他の心を得たのであれば、それは予期せぬ真実の愛に出会う物語となります。
「意味」は一定ではありません。
揺らいだり、変化したり、入れ替わったりするものです。
私たちは「意味」が確固たるものではないと知っています。それでも出来事を通して、自分だけの「意味」を探すことをやめません。
意味は揺らぐけれど、正解は分からないけれど、それでも「意味」を信じて人生の選択を続けていく。それが生きるということなのだと、私はこの物語を読んで思いました。
本をそっと閉じてから、自身の若かりし頃の出来事を思い出しました。
あの件の本当の意味とは…もしかしたら…
少し切ないけれど暖かな、何かが私を包み込みました。
私のように読後に過去に思いを巡らせ、脳内タイムスリップをする人はきっと多いことでしょう。
どうかそれが、幸せな余韻でありますように!と
思えた一冊でした。
【書籍情報】
書店で 御予約の際は以下の情報を伝えると便利です
✍️
2024年11月12日頃発売予定
青山美智子/著
『人魚が逃げた』 PHP研究所
ISBN. 987-4-569-85794-7
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?