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「頭がいいってこういうやつのことを言うのか」と思わされたあの時の俺へ

拝啓
どうも、カタールワールドカップで寝不足の47歳の俺です。大事MANブラザーズバンドの歌が懐かしい。

あの時の俺は34歳、転職して4社目の会社に入った頃だな。その後もまだまだ転職するんだけど。

全然賢くない学歴もない俺が経験とハッタリのみで侵入に成功した某コンサルティングファーム。
綺麗なオフィスに頭のいい上司同僚、色んな国から来たExpatsの面々。俺みたいな雑草がいていいのかなと毎日思ってた。
仕事も当然ついていくのが必死、でもこれまでの経験があったおかげでなんとか生き延びられたね。

しばらく新卒を採用していなかったその会社が、久しぶりに新卒採用をやったね。HRの人に聞くと、東大一橋早慶にしか声かけてないって。どういう基準でその学校選んだのかわからないけど、俺からしたら雲の上の存在の大学ばかり。いったいどんな人達が来るんだろうと、そして俺は新卒ではこの会社には100000%入れないと思ったね。

俺のチームには3名が配属になった。大卒1名院卒2名。院卒の2人のうち1人はMBA出たばかりの外国人、1人は某最高学府の院を主席で終えたという聞くからに過ごそうな日本人、大卒は誰もが知る塾から来た日本人。3人ともそれぞれ個性はあるけどとってもいいやつで、話もわかりやすくて、英語もできて、若いのにすごいなーと感心させられた。そのうちの院卒の日本人が俺が入ってるプロジェクトにアサインされることになったね。そして彼に俺がプロジェクトの概要を説明することになった。

俺はそのプロジェクトでやってる仕事の経験が既に数年あって、その仕事の本質が人よりも理解できて得意な時期だった。いくら優秀とはいえ、新卒の彼がすんなりプロジェクトに入れるか些か不安だった。

彼は俺の拙い説明を素直に真剣に聞いてくれた。いくつか質疑応答があった後、俺はこの仕事のキモというか、自分の経験から気づいていた抑えておくべき大事な観点を伝えようと思った。

その時だった。彼がおもむろに
「ありがとうございます。この仕事は要するにxxxxxでxxxxxxxが大事な観点ですね」
と一言。
俺は衝撃だった。
それはまさに俺が今から伝えようとしていたことだったから。
俺はその仕事のキモや大事な観点に気づくのに数年を要した。自分で苦労しながらようやくこういうことかとわかってきたところだった。それを目の前の彼は俺の決して上手くない説明を聞いただけでそこに気づいたのだ。もちろん彼はこの仕事は未経験だ。

それを聞いた瞬間、
「ああ、こういう人が天才って言われる人達なんだな。頭がいいってこういうやつのことを言うんだな」
とつくづく思った。もう勝つとか負けるとかじゃなく、ただただ尊敬の念だった。年齢も10ぐらい離れてる後輩だけど。

その後彼はその才能を持て余すようになり、外資系の投資銀行部門に転職していった。今もそこで活躍している。

俺は少なくない回数の転職をしているが、共通して言えるのは、どの職場も自分よりすごい人達だらけだった。転職するたびに色んなすげー人たちに出会い、なんとか食らいついていった。ほんとに運が良かった。

あの時の俺、あいつは衝撃的だったよな。
最初から勝負しようなんてこれっぽっちも思わなかったけど、人間上には上がいるって思い知らされたね。積んでるエンジン、CPUが違いすぎる。
柔道やってるから、どうやってもかなわない人はこの世に数えられないほどいることは身に沁みてたけど、彼のあの一言は衝撃的だったな。
でも彼みたいな人にその後もたくさん出会えたおかげで、勘違いすることなく努力を継続できるよ。
年齢なんて関係ない、自分より年上で学歴もあって経歴もすごいのに全然仕事しない人もいれば、新卒なのに多才なやつもいる。
俺はできるやつから教わるだけ、クソみたいなプライドはとっくの昔に捨ててるけど、いい会社に入れたからって驕ることなく、自分なんて大したことないんだと気を引き締めるんだよ。

じゃあな、頑張れよ、あの時の俺。
スーツと靴はいいやつ買えよ。クライアントに行くの恥ずかしいよ。
敬具


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