
氷魚8月「計算?」
しずく算
ぼくには夢がある、と言うのをぼくには犬があると言ってしまったようでそれから犬がチラチラこちらを見るのだ。まちがいだよ、と言ってもわからない犬のチラは、あるとき蝶のような夢二枚を鼻から出した。鼻から出るくらい萎んでいる、とは言いづらくはかないと表したらチラは歯を洗い出した、は
雨音になり十余年たつ
使われないことば
としはもいかないかめむし
あつめて
とろろこんぷの
入部ポスターもふざけた
古い煩悩に数えてゆけば
マヨネーズでえがく
それらしい犬のふで
ふでさきで吸う墨の拙者らら
逃亡者のハジキ澄むハジキすむすむ
小雨でやるそろばん塾の
しずく算
ばねうえ。
いちど出会った
雫と雫が
たがいに同じ一滴なのだと
遠く たがいにうるむとき
うるんで増えた雫の量 と
軽くなった寂しさの分 が
等しくなるように
離れて 求めよ。
ばねうえ。
姉上のように呼ばれたので、ねじうえ、と返した。
ラジオのなか、雨に打たれていた「どうしようもないね。」
傘をさしたかった、ビニール、安易にさして余計こわれたかったんでしょう
下水道にお入り。そう思えることが増える時、喉をふさぐ水の音でごまかすなよっ とあきらめ上手の鐘のおと、ジョアで眠る男女ごーん、ごーん、
軒先でシールを貼られて、錆びたアンテナを伸ばして、ラジオだったら、まだ聴いたことのないレコードのなかに、静かにしているから、聴かせてください。迷いこんだありがとうのしっぽで釣りをしている、漁船だと思ったら宇宙船、宇宙船だと思ったら、ただの稲光の予約。ご予約、というほど予約してませんが、いずれ。科学的につまらないことってあるんでしょうか。かながわ県、二重スパイだったウナギパイさん、からのペンネーム
「ねじうえ、」電気を流せるか、と聞いた。
目盛りはおそらくエフエムくちょくちょ、とにかく、電気を流せるか。このやろう、この
計算できない場合どうすればいい
加減乗除、
空から先生が読み上げた
加減乗除、
生徒がはじいた
遠い夜、雨でした
ぽたり
ぽたりと
物思う 雨。
思うはずない、と思うゆえに
屋根に流れて
もう雨漏りなんかしない
屋根ならそこに
数式は降り降られ
先生の犬乗、わたしの日常
そろばんはもう
使えなくなりました。
骨をさしてたと
小雨のなかで気づいて
もうお取り扱いしていない
犬の影を踏みながら
ちょうどいい雨だと小骨をたたんで
こわれる傘はそろばん
教室のあかり(はじく
ひとときの居場所(はじく
加減乗除の玉のおとがする
クーラーのない教室で頂いた麦茶にぽとりぽとり雨の、パチンコ、しずくしずくしずく
歩いた道に朱の尾を振っていく影の犬
まちがいばかり鳴りやすく
朱の尾のやわらかく
けふはつめたく、けふけふ、
しずくとしずくの、チラ(はじく